第627話 ギランの試練①(3)

 シアが訓練用の魔力上昇装備からすばやさ上昇装備に替えていく。

 アレンたちがいない間も、何日かに1回は装備を素早さ特化に変更して挑戦していたようだ。

 サクサクと魔導袋から出した指輪やら首飾りを交換していく。

 

 ロザリナとソフィーにも補助をかけてもらう。


「よし、最初から全力で行こう。ソフィーもスキルをかけてくれ」


「分かりましたわ」


(ソフィーのスキルレベルも随分上がっているな。精霊の園にいる頃から結構経ったし)


 【名 前】 ソフィアローネ

 【年 齢】 52

 【加 護】 精霊神(加護大)

 【職 業】 精霊師

 【レベル】 99

 【体 力】 6492+10000(加護大)+12000(真御霊)

 【魔 力】 9078+10000+12000

 【霊 力】 31078

 【攻撃力】 5867+10000+6000

 【耐久力】 5760+10000+12000

 【素早さ】 8506+10000+12000

 【知 力】 9121+10000+12000

 【幸 運】 8727+10000+12000

 【神 技】 精霊神の祝福〈6〉、生命の泉〈6〉

 【スキル】 精霊師〈7〉、水〈7〉、雷〈7〉、空間〈7〉、光〈7〉、真御霊〈2〉、祈り之舞〈3〉、弓術〈6〉、神技発動

・装備

 【武器】精霊王之杖:攻撃力10000、体力20000、魔力30000

 【鎧】精霊師之祈衣:耐久力10000、体力5000、魔力5000、物理耐性(中)、魔法耐性(中)、毒耐性(中)

 【指輪①】魔力5000、魔力5000

 【指輪②】魔力5000、魔力5000

 【腕輪①】魔力回復1%、体力5000、魔力5000、魔力5000

 【腕輪②】魔力回復1%、体力5000、魔力5000、魔力5000

 【首飾り】魔力3000、魔力3000

 【腰帯】光属性耐性、体力10000

 【耳飾り①】魔法攻撃ダメージ10%増、魔力2000、知力2000

 【耳飾り②】魔力1000、魔力1000


 ソフィーはアレンと行動を共にして、自らのスキル上げに勤しんでくれていた。

 神界では魔力が回復しないため、天の恵みを使うのだが、ソフィーも一緒に魔力を全回復する。


 その魔力を使い、ソフィーもスキルを一緒に上げることが出来た。

 ヘルモードのアレンと違い、エクストラモードのソフィーはぐんぐんレベルが上がっていく。


 シアが装備を素早さ特化に替え終わったところで、ソフィーが神技「精霊神の祝福」を発動させる


・シアのステータスその④精霊神の祝福(6)、獣帝化(5)

【体 力】70586

【魔 力】58395

【霊 力】58395

【攻撃力】95644

【耐久力】67846

【素早さ】164642

【知 力】58525

【幸 運】60732


(俺たちがここを離れる前より、シアの素早さが3万くらい上がっているな。さて、ここからだ!)


 スキル上げのための特訓の成果を分析する。


「ロザリナもシアの素早さが上がるスキルをかけてやってくれ」


「スキルは素早さだけで良かったのよね。分かったわ」


 数多のバフを獲得したロザリナが、シアに対して、今回の試練に必要な神技「天翔乱舞」とスキル「真行進曲」を発動させた。

 さらに、元エクストラスキルのスキル「人魚の歌姫」も発動させた。


 真っ白な神域(サンクチュアリ)の上で、海底の楽園が広がるような美声と美しい踊りをロザリナが披露し始めた。


(よしよし、これがバフを極めた者の力か。金の卵も使ってと)


・天翔乱舞の効果(スキルレベル4)

 【スキル使用者】ロザリナ

 【スキルの種類】神技、バフ

 【消費魔力(霊)】全霊力

 【エフェクト】使用者の元気のよい踊りに合わせて、無数の天使の羽が空から舞う

 【効果】素早さ40%増、回避率40%増、スキル発動時間40%減、クールタイム40%減

 【射程】使用者を中心に10キロメートル

 【成長性(効果)】全効果が10%ずつ増える(減る)

 【持続時間(秒)】消費霊力/100

 【発動時間】30秒

 【クールタイム】1日

 【必要スキル経験値】スキルレベル2になるまでに1万必要、以降10倍必要

 【その他】仲間と認識していない者には効果がない。


・真行進曲の説明(スキルレベル7)

 【スキル使用者】ロザリナ

 【スキルの種類】スキル、バフ

 【消費魔力(霊)】7000

 【エフェクト】両足を上げ、行進する踊り

 【効果】素早さ7000増

 【範囲】7キロメートルほど

 【成長性(効果)】星の数×スキルレベル×100×2(エクストラモードの場合)だけ素早さが増加する

 【持続時間(秒)】1時間

 【発動時間】10秒

 【クールタイム】10分

 【必要スキル経験値】スキルレベル2になるまでに1000必要。以降、レベルが上がるごとに10倍必要

 【その他】仲間と認識していない者には効果がない。


・人魚の歌姫の説明(スキルレベル5)

 【スキル使用者】ロザリナ

 【スキルの種類】スキル、バフ

 【消費魔力(霊)】全魔力(霊)

 【エフェクト】体を回しながら、歌を歌う

 【効果①】全ステータス25000増

 【効果②】攻撃力、知力30%増

 【効果③】体力、魔力秒間1500回復※

 【範囲】10キロメートルほど

 【成長性(効果①)】全ステータスが5000ずつ増える

 【成長性(効果③)】体力、魔力の回復量が300ずつ増える

 【持続時間(秒)】全魔力(霊)/10

 【発動時間】30秒

 【クールタイム】1時間

 【必要スキル経験値】スキルレベル2になるまでに10000必要。以降、レベルが上がるごとに10倍必要

 【その他】仲間と認識していない者には効果がない。

 ※神界では魔力は回復しない。神界だからといって霊力は回復しない。


・シアのステータスその④(仲間たちのスキルの効果)

 精霊神の祝福(6)、獣帝化(5)、天翔乱舞(4)、真行進曲(7)、人魚の歌姫(5)、金の卵

【体 力】95586

【魔 力】83395

【霊 力】83395

【攻撃力】151437

【耐久力】92846

【素早さ】263298

【知 力】108582

【幸 運】85732


 かつてないバフがシアの全身に降り注ぐ。

 自らも獣帝化(フルビースト)を発動させているので、シアは巨大な4足歩行の獣へと姿を変えていく。


『グオオオオオオオオオオオオオオ!!』


 シアは後ろ足で体を起こし、風圧を感じるほどの雄たけびを上げた。


「準備ができたみたいだな。シア、行ってこい」


『分かった!』


 獣神ギランが神域という円形の隆起した内側にシアが入っていく。

 ロザリナとソフィーの補助を貰い、そして、アレンたちが別行動している間にスキルを鍛え、シアはこれまでにない素早さを獲得する。


 円形の神域は直径900メートルほどだ。

 シアとギランは300メートルほど離れているのだが、両者は両者しか見えていない。


 全長3メートルほどになったシアだが、それでも全長100メートルになったギランには体格では遠く及ばない。


【シアの肉体の変化】

・発動無し 2足歩行 160cm 

・獣王化  2足歩行 220cm 牙も爪も鋭さを増す

・獣帝化  4足歩行 300cm 牙も爪も鋭さをもっと増す

※ベク、ゼウはもっと大きくなる


『あなたの本気、見てあげましょう。来なさい!!』


 ギランの言葉が試練開始の合図であった。


 真っ白な床石のような神域を踏み込むと、爪の先から込められた力によってシアが一気に前進した。

 これまでにない圧倒的な速度でシアは迫る。

 瞬きする暇もなく、何秒もかけず、吸い込まれるようにギランとの距離を一瞬で縮めた。


(縮地かな。素早さだけに特化させると、これだけ速くなるのか。目で追うのが限界なんだけど)


 素早さ26万とはただの数字ではなかった。

 アレンたちが別行動をとる前との次元の違いを感じる。


 全長100メートルに達するギランにとって、狭すぎるとも言えるこの神域(サンクチュアリ)の中で、軽快なステップでシアとの距離を保つ。

 巨大なギランがそれこそ、素早さいくつだと思えるほどの動きを見せる。


 ギランの試練①はお互いの武器を交えないので、激しい音や衝撃波は発生しないのだが、シアとギランの動きによって、その速度からくる衝撃音から血肉を削る戦いをしているように思える。


 暴風の嵐の中、地面にはシアやギランが蹴った時に生じる閃光と、金属がぶつかったのかと思えるほどの、金切り音が聞こえる。


 シアとギランは一切接触しておらず、ギランは逃げの一手を選択する。

 この試練は鬼ごっこなので、戦い自体は発生しない。


【ギランの試練①について】

・達成条件:シアがギランに攻撃を当てること

・報酬:獣神ギランの神器


「ルバンカ、皆を吹き飛ばされないようにしてくれ」


『分かった……。すごい戦いだな。皆、我を掴むのだ』


 熱い胸板の全長30メートルの逆三角形の筋肉質な体を低く屈みこみ、3組の太い腕と両の足を地面に付けて、ルバンカは自らの体を安定させる。


 セシル、ソフィー、ロザリナは突如生じた竜巻の中を耐えるよう、ルバンカの剛毛を掴み吹き飛ばされないようにする。


「ちょっと、速すぎて見えないわよ!」


「そうだな。素早さ特化の装備に変えた方が良いな」


「ロザリナ、ソフィーも素早さを上げて応援しよう」


 アレンは魔導書から素早さの増加する指輪や首飾りを出して、皆に配る。

 

 素早さの高さによって、周りの素早さの変化にも対応できる世界だ。

 アレンも従僕だったころ、殺し屋のダグラハの動きが見えなかったことがある。

 だが、今同じ動きをされてもそんなことはないだろう。


 素早さの上昇によって、肉体的な変化だけではなく、動体視力が補正によって上がるようだ。

 だから素早さの高い者は、それだけ相手の素早さに対応できるらしい。


 仲間たちは後衛職な上に、装備も知力や魔力が高くなりやすい装備を多く装備している。


 アレンはもともと召喚士として素早さの成長は高いほうだが、創生スキルを上げるため、魔法具は霊力自動回復と最大魔力が上がるよう調整していた。


 アレンたちも素早さを上げたところで、ようやくシアの状況の理解が進むのであった。

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