第137話 スタンプカード
最下層ボスである鎧型のAランクの魔獣は、アレンのメテオ(仮)では死んでいなかった。体から煙を発しながら、アレン達に向かってくる。囲むようにいたBランクの魔獣オークキング10体はアレンのメテオ(仮)で爆死したため、倒すのは残り1体の最下層ボスだけだ。
「行くよ!」
「おう!」
最下層ボスはまだ生きている。クレナの掛け声と共にクレナとドゴラが鳥Cの召喚獣に乗って最下層ボスに向かって突進して行く。
時速300キロメートルで向かってくるクレナに合わせて、最下層ボスは数メートルの大剣を振り下ろす。
ズウウウウウウン
「クレナ大丈夫か!!」
キールが慌てる。クレナは大剣で防いだが、数百キロはあろう最下層ボスの大剣が床板を砕き、鳥Cの召喚獣の足が埋まる。
「大丈夫! うりゃあああ!!」
クレナがスキルを発動し、大剣が真っ赤になる。最下層ボスの大剣がはじかれ、上半身がのけ反る。強靭な足を持つ鳥Cの召喚獣も無事なようだ。
その隙にドゴラが渾身の力を込めて斧を叩きこむ。
的がでかいため、アレンの召喚獣もセシルの攻撃魔法も、最下層ボスの上半身目掛けて攻撃する。
(よし、クレナが攻撃を止めたから、これで戦いが安定しそうだな)
最下層ボスの攻撃に、クレナが耐えることができたため、勝機を見出す。
多少最下層ボスが硬くても時間の問題だ。
全員で攻撃すること数十分。
最下層ボスは声を発することなく、大の字に倒れた。
『グレイトウォリアーを1体倒しました。経験値480000を取得しました』
「「「おおお!」」」
仲間達の驚きの声が揃う中、最下層ボスは静かにソフトボール大の紫の魔石に変わる。
(レベル的に問題なさそうなのに時間を食ったな。これだと戦場でごろごろAランクがいるとなるとまだまだ厳しいな)
アレンは皆のステータスを見ながら1人反省する。
アレンの仲間達は9月の終わりまでにレベルを56まで上げてきた。
召喚獣のバフ、キールの堅固スキルを除いたステータスは以下のようになっている。
【名 前】 クレナ
【年 齢】 12
【職 業】 剣聖
【レベル】 56
【体 力】 2280+900
【魔 力】 890
【攻撃力】 2280+900
【耐久力】 1600+900
【素早さ】 1540+900
【知 力】 910
【幸 運】 1115
【スキル】 剣聖〈5〉、斬撃〈5〉、飛剣〈5〉、紅蓮破〈5〉、豪雷剣〈3〉、剛体〈1〉、剣術〈5〉
【エクストラ】 限界突破
【経験値】 11,231,560/2千万
・スキルレベル
【剣 聖】 5
【斬 撃】 5
【飛 剣】 5
【紅蓮破】 5
【豪雷剣】 3
・スキル経験値
【斬 撃】 150/100,000
【飛 剣】 300/100,000
【紅蓮破】 100/100,000
【豪雷剣】 400/1,000
【名 前】 セシル=グランヴェル
【年 齢】 13
【職 業】 魔導士
【レベル】 56
【体 力】 960
【魔 力】 1620+600
【攻撃力】 615
【耐久力】 786
【素早さ】 951+600
【知 力】 2230+600
【幸 運】 896
【スキル】 魔導〈5〉、火〈5〉、土〈5〉、風〈5〉、水〈3〉、叡知〈1〉、組手〈2〉
【エクストラ】 小隕石
【経験値】 11,194,060/2千万
・スキルレベル
【魔 導】 5
【火魔法】 5
【土魔法】 5
【風魔法】 5
【水魔法】 3
・スキル経験値
【火魔法】 550/100,000
【土魔法】 600/100,000
【風魔法】 200/100,000
【水魔法】 100/1,000
【名 前】 ドゴラ
【年 齢】 13
【職 業】 斧使い
【レベル】 56
【体 力】 1234+300
【魔 力】 668
【攻撃力】 1625+300
【耐久力】 1069
【素早さ】 676
【知 力】 450
【幸 運】 731
【スキル】 戦斧〈5〉、渾身〈5〉、斧投〈5〉、爆裂撃〈5〉、雪崩砕〈3〉、戦意〈1〉、斧術〈5〉
【エクストラ】 全身全霊
【経験値】 11,183,260/2千万
・スキルレベル
【戦 斧】 5
【渾 身】 5
【斧 投】 5
【爆裂撃】 5
【雪崩砕】 3
・スキル経験値
【渾 身】 700/100,000
【斧 投】 300/100,000
【爆裂撃】 600/100,000
【雪崩砕】 400/1,000
【名 前】 キール
【年 齢】 13
【職 業】 僧侶
【レベル】 56
【体 力】 735
【魔 力】 1399+300
【攻撃力】 558
【耐久力】 785
【素早さ】 895
【知 力】 1233+300
【幸 運】 1123
【スキル】 僧侶〈5〉、回復〈5〉、堅固〈5〉、治癒〈5〉、魔壁〈3〉、信仰〈1〉、剣術〈3〉
【エクストラ】 神の雫
【経験値】 11,297,230/2千万
・スキルレベル
【僧 侶】 5
【回 復】 5
【堅 固】 5
【治 癒】 5
【魔 壁】 3
・スキル経験値
【回 復】 200/100,000
【堅 固】 800/100,000
【治 癒】 500/100,000
【魔 壁】 300/1,000
「お! 宝箱が出たぞ!! A級ダンジョンの宝箱だ。って木箱か」
最下層ボスが定位置で立っていた場所の少し後方に出現した宝箱に、キールが反応する。
今回は残念ながら木箱のようだ。
なお、木箱9割、銀箱1割で出てくるが、4月からダンジョンに通い始めて金箱はどのダンジョンでも出ていない。1パーセント程度だと思っていた金箱の確率であるが0.01パーセントくらいなのかもしれない。
「わあ! ヒヒイロカネの斧だ!!」
木箱を開けると、明らかに木箱より大きいヒヒイロカネの斧が出てくる。どういう仕組みか分からないが、宝箱よりでかいものが普通に出てくることがある。
「斧か、じゃあドゴラだな。これでミスリル卒業か」
「あ!? いいのかよ」
アレンの言葉にドゴラが本当にいいのかと言う。この大きさのヒヒイロカネだと金貨300枚くらいはしそうだ。
A級ダンジョンの最下層ボスの討伐報酬は最低でも金貨100枚はいきそうだ。
「皆の装備をダンジョンでより良くするって話だったからな。大剣が出たらクレナ。ワンドが出たらセシル、ロッドが出たらキール、レイピアか普通の剣が出たら俺だな」
既に話し合ったことを言う。
この異世界では素材による武器の強さがある。
銅、鉄、鋼鉄、ミスリル、ヒヒイロカネ、アダマンタイト、オリハルコンと、素材の硬度によって武器の威力が上がっていく。皆今の所ミスリル程度の武器を装備しているので、より強い武器が出たら、それは装備できる者の物にするという話し合いはしている。
その時、武器を貰った人が、他の仲間に何かお金や対価を払うなんてことはしないと決めている。それがアダマンタイトやオリハルコンの武器や防具が出ても同じだ。
(魔王軍にやられまくるのは武器や防具が弱すぎる説もあるからな。何万何十万の兵にミスリルの武器を揃えられるかという話だな)
魔王軍が大軍過ぎて、相応の兵数を準備しても武器防具を揃えられないのではと考える。
今回最下層ボスを倒すのに時間がかかったのも、武器が弱かったからとも言えるかもしれない。
戦場に行くまでに武器を最低でも全員アダマンタイトクラスにする。できればオリハルコンの武器と防具を揃えたいなと考えていると、目の前にキューブ状の何かが出現した。
ブンッ
「「「な!?」」」
それはいつもダンジョンに入るとき、出るときに案内してもらっている、ダンジョンを運用するシステムのようだ。
『A級ダンジョンの討伐おめでとうございます。パーティー名「廃ゲーマー」の皆さま』
(お、久々にその名前で呼んでくれたぞ。照れるな)
『私はダンジョン統括システムです。この度は皆様にA級ダンジョンの攻略証明書を発行に参りました』
するとアレンの目の前に、真っ黒なカードが出現する。名刺ほどの真っ黒なカードには、よく分からない紋章のようなものが小さく1つ刻まれている。
「「「攻略証明書?」」」
アレンは手に取り、刻まれた紋章を指でなぞる。
(あれ、何かこういうの見たことあったな。これはあれじゃね?)
アレンがほかのことを考えている中、ダンジョン統括システムと名乗るキューブ状の物体の説明と仲間たちの反応が進んでいく。
「攻略証明書を持っていると何かいいことあるの?」
アレンが考えているのでセシルが代表して質問をしてくれる。
『はい。A級ダンジョンの攻略証明書に今回1つの印を付けております。印を5つにすると、S級ダンジョンへの資格証明書と引き換えさせていただきます』
「「「S級ダンジョン!!」」」
「おお!! スタンプカードだ!!!」
「ちょ!? アレン」
皆がさらに難易度の高いダンジョンがあるのかとS級ダンジョンの存在に驚く中、アレンが説明に大きく反応する。その反応に「また始まった」とセシルが呆れる。
前世の頃よくあった。同クラスのクエストや討伐、攻略などをいくつかこなすと、より上位クラスのクエストなどに挑戦する資格が得られる。
1つ攻略するとスタンプが1つ押されるスタンプカードのようなものがあって、頑張ってスタンプを集めた記憶がある。
何でこんなものがあるのか分からないが、すぐにユーザーにクリアさせないためや、次のバージョンアップのための時間稼ぎ説が濃厚であった記憶がある。
今回も印ということなので、スタンプカード形式のようだ。
急に現れたダンジョン統括システムに詳しく話を聞くことにする。
こうして1つ目のA級ダンジョンの攻略が終わった。
そして、S級ダンジョンに入るための資格の印を1つ手に入れたのであった。
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