5月5日Ⅵ(12)
「ん、これ美味しい!」
「それは鰻の味噌煮だね」
「これも美味しいです」
「それは朝取れ野菜の煮物だね」
美味しい料理の数々に舌鼓を打つ私たちに慎之介さんは親切に対応してくれる。
ただ、そんな楽しい時間は長くは続かなかった。
料理を食べ始めてから20分ほどした頃、突然私の携帯が鳴り始めた。
「すみません、失礼します」
私はいそいそと立ち上がって、廊下に出た。
電話の相手は愛奈さんだった。
「もしもし?」
「あ、あの今お二人は、どこですか?」
今まで聞いたことのないような狼狽した愛奈さんの声が私の耳に届く。
「愛奈さんの実家で詩歌と慎之介さんとご飯食べてるけど」
「無事なんですね!?よかった」
愛奈さんはそれを聞いて安堵したような声で返事をする。
「すみませんが詩歌さんに変わっていただけますか?
それと架那さんは急いで荷物をまとめてください」
「え、なんで−」
「いいから早く!お願いします!」
「う、うんわかった」
私が状況を尋ねようとするも愛奈さんは焦りを含んだ声で叫ぶ。
私にできることは急いで詩歌に電話を渡すことだけだった。
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