4月30日Ⅳ(8)

カツンカツンと、硬い床を歩いてくるような音が聞こえる。

誰か来たのか。

「楠木架那だな。立て」

歩いてきた人、恐らく声からして女性は、私がいる部屋の前で立ち止まるとドアを開けて告げた。

「無駄な抵抗はするなよ。射殺許可が出ているからな」

うわこっわ。

え、やっぱ私殺される可能性高くね?

「一つ聞いてもいいですか?」

「ダメだ」

「聞いてくれなきゃ立ちません」

「…なんだ」

よし。

「私を攫ったのって、何か理由あるんですか?」

「私は知らん。上のものにでも聞けるものなら聞けばいい」

「じゃ、じゃあ今が何時かだけでも!」

「…。何か企んでいるんじゃないだろうな。…八つだ」

「22時か」

「ちっ、ほら立ていくぞ!」

即答してやった。

反骨精神どんなもんじゃい!


てことは4/30〜5/1の間ってことか。

ん?

…ちょっと待て。

今思い出したことが一つあるぞ。

4/30〜5/1ってワルプルギスの夜じゃん。

ベルリオーズの「幻想交響曲」の第5楽章に出てくるあれだ。

ワルプルギスの夜を意識しているのだとしたら、私首斬られて死-


いやいやまてまて。

それは考えすぎだな。

うん。

…しにたくないよぉ。

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