4月09日Ⅳ(1)

今日から一週間は午前授業らしい。

佐野先生が今日SHR(ショートホームルーム)でそう仰っていた。

まあ早く帰っても特にすることはないんだけど。

そろそろ1時間目の準備をするか。


そう思った矢先、誰かに呼び止められた。

なんだろう。

放課後体育館裏に来いってやつかな。

「あの、楠木架那ちゃんだよね?」

なんで私の名前知ってるんだろうこの人。

あ、黒板に席表貼ってあったわ。

「そうだけど、貴女は?」

「私神坂詩歌!詩歌でいいよ!よろしくね架那ちゃん」

彼女、もとい神坂詩歌さんはどうやら私に挨拶をしてきたらしい。

「よろしく神坂さん。でもなんで急に下の名前呼び?」

神坂さんは少ししまったという表情を浮かべた後、笑顔に戻った。

「詩歌でいいよ!」

「楠木ちゃんって長いでしょ?だから架那ちゃん。嫌だった?」

「別に嫌なわけじゃないけど…」

「そっか!ならよかった!」

神坂さんは、はにかんで笑った。


-私に話しかけてくるなんて特異な人。

いました。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る