第24話 柱戯、撃破
僅か、10秒にも満たない時間の中。
不寝番の2人を先頭に男たちが駆けつけてきた。
僕、ぱんつ一丁の殺し屋の男に、「自分の身を守れ」って命令するのが精一杯。
ばんっ! っていうすごい音がしてドアが開いた。
文字どおり、蹴破られたんだ。
でもって、駆け込んできた男たち、呆然と動きを止めた。
ま、そりゃそうだ。
想像してみればわかる。「泥棒だっ!」って捕まえに行ったら、いたのはぱんつ一丁の変態だったわけだ。
呆然とするよね、そりゃあさ。
で……。
その一瞬が彼らの悲劇を決定した。
殺し屋の男、身を伏せながらラックから銃を取り、そのまま先頭の男に投げつけた。複雑な動きなのに、まるでその機能のためだけに作られたマシンのような無駄の無さだった。
鼻柱から血を拭き上げて、先頭の男が倒れる。
2番目の男、回れ右して、部屋から出ようとする。
逃げるというより、遮蔽物の影に隠れてから対抗しようとしたんだろうね。
で、この2番目の男の尻は僕が引き受けた。
腕だけ霧化を解いて、僕の力だと死んじゃいかねないから、そーっと叩いたんだ。
僕、人が焦ったときに、本当に「あわわわわ」って言うんだってことを学んだよ。2番目の男はそう口走りながら空を舞って、3番目と4番目と5番目の男をなぎ倒した。
これは、ストライクだな。
で、振り返ってみたら、殺し屋の男、濃い顔をマジにさせて弾込めの真っ最中。
これはちょっとまずいので、止めさせた。
でもまぁ、そりゃそうだよね。実戦で銃火器があれば使うよね。プロなんだし。
ま、少なくとも敵は丸腰。少なくとも、今は武器庫にいるこっちが有利。丸腰同士の乱闘で、ヴァンパイアに勝てる人間なんかいないよ。
だから、あえて敵を殺すこともないよね。
次は、棒みたいな長い銃を持った男が駆け寄ってくる。
たぶん、この銃が相手だと、遮蔽物の陰にいてもそれごと撃ち抜かれる。この銃は撃たせちゃいけない。僕は平気だけど、連れてきた殺し屋の男が挽き肉になっちゃうのは見たくないからね。
で、殺し屋さんには悪いけど……。
僕にとってはスペアがあるのと同じわけなんで、投げさせてもらったよ。
ま、ボウリングだな。
ぱんつ一丁の殺し屋さんを、棒みたいな長い銃を持った男に向けて投げたんだ。
ま、もちろん十分に気をつけてだけど、もろに危険球ではあるよね。
ぱんつ一丁の男が両手両足を広げたまま飛んでくるのを目撃して、棒みたいな長い銃を持った男は驚きのあまり顎をかくんって落とした。
で、そのあと慌てて銃口を上げて標準を合わせようとしたけど、間に合うわけがない。あんな長い銃、小回り利かないもん。
うん、黒い服と裸、抱き合うとコントラスト比が高いな。
でもって僕は、そのまま2人の男が絡み合ったまま転がっていくのを見て、思いっきり溜飲を下げた。
だってさ、裸の男に抱きつかなきゃいけない苦行を、分かち与えられたわけだからね。
ほら、嫌そうな顔しちゃって。
僕だって、嫌だったんだからな。
さぁ、最後の課題はパソコンをいじっていた男だ。
その男はまだ姿を見せていない。
今度はこちらから狩るぞ。
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