第167話 夫の壊れた言葉。

 珍しい病気になった月猫です!

 手術・入院も決まったことだし、夫に伝えてもいいだろうと先日施設で話してきました。


「あのさ、ちょっと病気になったから、入院するね」

「癌か?」

「まぁ、似たようなもんかな」

「癌ならいいな」

「……えっ? なんで???」

「ガン保険おりるから」

「あのさ、癌なら私死んじゃうよ」

「お前は、死なない!」(バカにしたような表情してた)


 みなさまご存じでしょうが、脳出血により夫の脳細胞は若干死んでおります。

 えぇ、以前と同じ性格の夫ではありません。

 そんなことは、重々承知の上で思うのです。

『なんだ? この人??? なんで、こんな人と結婚したかな私!』


 腹立たしいやら、情けないやら。

 伸びきった髭。

 昔とは違う顔した夫の顔をみて、とりあえず怒りは押し込み「髭剃ろうか?」と言って、剃って来ました。自分でも驚く行動。一発殴ってもいいくらいなのに……


 そして、この日から考えてるのです。

 若かった頃の夫と、今の夫を……人が変わってしまったのか、元々こういう性格だったのか。私にはわからないけれど、夫は、このまま死んでいくんだろうな。生きる上で、本当に大切なことは何か? そんなことを考えることもなく、生き方を改めることもなく……


 そう考えると、こうやって自分の思いを書き残せる私は幸せなのだと、しみじみ思うのです。もし、この先、夫と同じように倒れてしまい、人格が変わったとしても、子どもたちは過去の私を見つけてくれると思うから。


 あれ?

「母ちゃん、こんなの書いてたのか!」って、怒られるかな(笑)







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