第72話 全治一週間じゃなかったの巻。

 昨日、診察帰り我が家に来た息子は右足を引きずったまま歩いている。

「えっ? その足で明日仕事に行けるの? 全治どのくらいかかるの?」

と聞いた私に

「抜糸、一週間後だって。仕事もまだ休んだ方がいいらしい。全治一か月くらい? 俺、来月の給料が心配だ! 仕事に行きたい‼」

と叫んでいた。


 結婚式が続いているので、出費がかさんでいる息子家。傷病手当が出るとはいえ、切実な問題である。とはいえ、運が悪ければ死んでいたので、一か月で済んで良かった。


 今朝、夫の施設探しや、姑さんの癌治療や、息子の怪我や、自分の就職や考えることが山積みの私の所に、梅ちゃんから電話が来た。


 開口一番、愚痴。

『おらは体調悪くて、大変なんだ』と自分の大変さだけをアピールしてくる。

 それはいつもの事だけれど、今日の私には受け流すだけの余裕はなかった。中に溜まっていたストレスが一気に噴き出す。


 ぶち切れた私に「ストレス溜めて倒れないようにな」と梅ちゃんは言ってくれたけど、遅いんだよー。

 毎度のことながら、人の気持ちがわからない梅ちゃんは私がキレてから慌てる……。 このパターン何度目かな。


 そんな梅ちゃんに私は「正直、もう倒れたい」と言いかけた。

 ヤバいヤバい。多分、自分が思っている以上に私は疲れている。


 近場の温泉にでも行って、体に溜まった毒を流して来ようかな。

 

 

 

 

 



 

 

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る