第4話 お金が足りないので金策効率化してみた

 夜になった。ギルドから『モンスター素材納品』というクエストを受け、ギルド内にある店で肉を買った。


 クエストの報酬は、素材1つにつき最低500ギル。素材の質やモンスターの種類によって値段が変わる。上限はないが、10個は納品しなくてはならない。


「王様に貰ったお金の半分以上が稼げるのか…」


「1つ解体ができない場合、1体100ギル払うことでこちらでモンスター解体をいたします」


 *

「…なにあれ」


 昨日...というか今朝の場所に着くと、10つの山ができていた。近づいてみると、モンスターの死体が山積みになっていた。山の前にウルフとスライム達が並んでいた。


「え、これ全部お前達がしたの?めっちゃすげぇ!」


 褒め称えると、「肉のためです!」「お肉待ってました!」「肉はどこですか?」とウルフ達が目を輝かせて言ってくる。可愛い奴らめ。


 この辺りによくいるウルフやスライムだけでなく、どこまで行ってきたのか、ゴブリンなどもいた。数は10組合わせて驚きの231体。


 そして一番驚いたのは、熊だ。熊が一体、山の中に埋もれていたのだ。どのチームがやったのか聞くと、


「俺達がしました。ご主人」


 ウル郎だった。最初にテイムしたウルフだ。


 「お前達がやったのか!凄いぞ!今回はお前達が優勝だ!」


 そう言うと、ウル郎は照れたように尻尾をを振り、仲間のウルフはものすごく喜んでいた。スライムも気持ち多めに揺れている気がする。


 2位以降は熊がいないだけで1位と数も種類もほぼ同じだったので同点にしました。


 みんなに肉の報酬をあげて、解体作業に入る。…解体ってどうするんだ?


 悩んでいると、そこへ


「…ようやく見つけました」


 白いフードを被った女性がやってきた。


 やばい。面倒事が起こるフラグっぽい。


「どちら様ですか?」


「…え?お、覚えてないんですか?」


「見覚えはあるんですけど…すみません。今取り込んでるので」


「え、いや…あ、そうだ。解体の仕方教えてあげます!」


 動きが止まった。


「こちらに来て2日目。まだ解体の方法なんてわからないんじゃな…」


「思い出した。城の床で寝そべってた人ですよね」


「認識を改めてもらいたいですし、ああなってたのは貴方のせいでもあるんですけどね」


「それで、何のようですか」


「…あの一件以降、私は王城直属の召喚士をクビになりました。初めてとはいえ仕事で失敗を繰り返し、その上…とにかく行くあてがないんですよ。それで、よかったら…」


一呼吸置き、


「パーティ、組みませんか?」


「パーティ?」


「はい。パーティです。この世界のこと、まだわからない事多いんじゃないですか?それの解体とか。私が教えてあげますよ。」


 予想外の要求だった。


「魔王討伐を手伝わせてください!王城のやつらを見返してやりたいんです!今まで私にしてきたことを後悔させたいんです!」


 女性はそう言い、頭を下げた。


「色々聞きたいことはあるけど…」


 (何されたのかはわからないけど、あの城の奴らには初対面でも悪い性格が見て取れたし。まあ、わざとじゃないとはいえ俺のせいでクビになったわけだし、解体のことに限らず今後頼れるかもしれない)


「いいですよ。お金はありますか?」


「え?まあそれなりにありますけど、貸しませんよ!」


「いや借りないから。俺はお金ないので宿代とかは自分で払ってくださいね」


「あ、はい!ありがとうございます!あ、そうだ」


 女性は、不意にフードを外した。白く、長く、美しい髪を一つ結びにした、綺麗な女性だった。あまりに美しさに体が固まった。


「私の名前は、カルミア・ケミンダー。敬語は必要ないですから、普通に話しかけてくださいね。」


「…あ、うんよろしく。俺は」


「覚えてますよ。マミヤ・トウジ…でしたよね?」


「あってますよ。…そっちこそ普通に話していいですから」


 *


「パーティ結成したところで、解体の仕方教えてください。朝になるまでに終わらせないといけないんで」


「え!?この量を朝までにですか?」


「実際には素材をギルドに納品して宿に帰るまでの作業を朝までにしますよ」


「えぇ…何体分あるんですかこれ」


「231体です」


「…」


「231体です」


「聞こえてますよ!…あぁ、組まなかったらよかったかも」


「聞こえてますよ。早く教えてください」


「はいはい、わかりましたよ。まず、簡単なスライムからですね」

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