旅行先で目を覚ましたら村上義清になっていた私。そんな私を支えることになったのがアンチ代表の真田幸隆だった。

第350話誘い

私（村上義清）「でも信長って……。」

春日虎綱「はい。前回木曽川を渡る事が出来ずに頓挫しています。これが原因の１つとなりまして、義秋様は近江を追われる事になりました。ただ今回は木曽川を渡った稲葉山を本拠地に構えていますので問題ありません。」

私（村上義清）「（長良川揖斐川を擁する）大垣を越える事は出来るのか？」

春日虎綱「そこも信長の勢力圏にあります。加えて信長は北伊勢も手に入れ、更には東隣の三河は同盟者である家康が居ますので彼の本貫地尾張は安全地帯となっています。」

私（村上義清）「長島はどうだ？」

春日虎綱「そこなんですけどね……。しかし今回は義秋様を奉じる事が目的でありますので、長島の一向宗が信長不在を狙って来る事は無いと思われます。ただ問題となっている事が２つありまして……。」

私（村上義清）「何だ？申してみよ。」

春日虎綱「はい。１つは近江の六角の去就がまだ定まっていない模様であります。」

私（村上義清）「前、義秋を匿ったのは六角だろ？」

春日虎綱「はい。ただその時も三好が近江に入るや否や義秋様を若狭へ追い出した事からもわかりますように、実際どのような行動に打って出るのかわかりません。」

私（村上義清）「場合によってはいくさに発展する恐れがある？」

春日虎綱「はい。」

私（村上義清）「もう１つは何だ？」

春日虎綱「はい。今回の義秋様の上洛に際し、信長より『一緒に来ないか。』とのお誘いをいただいております。同様の依頼は家康にも届いています。」

私（村上義清）「で。家康はどうすると言っている？」

春日虎綱「『一族の者（家康の祖父の従兄弟にあたる松平信一）を派遣する。』と言っています。」

私（村上義清）「それでうちはお前を指名して来たのか？」

春日虎綱「はい。信長としては（村上義清の勢力圏と隣接する）美濃の安全を確保したいのでは無いかと思われます。」

私（村上義清）「人質と言う事か？」

春日虎綱「恐らくそうなるかと。」

真田幸隆「実戦に投入される心配はあるのか？」

春日虎綱「もしそうでありましたら私を指名する事は無いでしょう。槍働きを期待する事が出来る（信長の）娘婿の四郎を連れて行くでしょう。」

真田幸隆「家康も交えているとなると、ただ東の安全のためだけでは無いであろうな。」

春日虎綱「はい。本来でありましたら家康を連れて行きたかったのが信長の本音では無かったかと思われます。ただ三河の仕置が終わっていませんので、今回は名代が派遣される運びとなったそうであります。」

真田幸隆「虎綱。」

春日虎綱「はい。」

真田幸隆「此度は結論を決めて来るな。全て信濃に持ち帰るように。」

春日虎綱「わかりました。」