旅行先で目を覚ましたら村上義清になっていた私。そんな私を支えることになったのがアンチ代表の真田幸隆だった。

第275話反転

少し前に戻って武節城。

春日虎綱「岩村城を囲んだ時、信長は何処に陣を構えるのか？そしてその信長だけが突進して来る場所の中で適当な迎撃場所は何処になるのか？そして何ですか？信長の家臣が信長に追いつくのに最も時間の掛かる場所を教えてくれ？それでいて可能であれば信長から明知城を塞ぐことが出来ればなお良い。でありまするか？殿。御自身でやって下さい。」

私（村上義清）「頼むよ。うちの浮沈に関わる問題なんだからさ。」

春日虎綱「それこそ岩村城（に居る遠山景任）に尋ねれば済む話でありましょう。殿も私も攻略する時には地場の支援者の協力を得て行うのでありますから。」

私（村上義清）「ただあの一族……あまり信用出来ないのだよ。」

春日虎綱「まぁ家を残すためには全てをどちらかに賭けるのは危険でありますから仕方ないでしょう。」

私（村上義清）「だから頼む！この通り！！」

春日虎綱「あくまで想定でありますよ。もし異なる結果になっても私に文句を言わないで下さいね。実際に戦うのは殿でありますから。」

　岩村城。

私（村上義清）「（善し。ここまでは虎綱の言う通りになった。ここからは……。）」

　自己責任。

私（村上義清）「兵を反転させ、敵を迎え撃て！！狙うはひとつ！信長の首だ！！！」

　深志城。

真田幸隆「うちは玉薬をふんだんに使った破壊工作でのしあがって来たと世間で言われています。」

私（村上義清）「ほぼお前ら兄弟の仕業なのだがな。」

真田幸隆「しかし本当の軍法は違います。ただその機会が無かっただけであります。そしてそのことをまだ信長は知りません。」

　陣を信長目掛け反転させた村上義清は、先頭の種子島隊の弾と弓隊の矢を信長目掛け集中砲火させるや否や、種子島、弓両隊を守りながら長槍隊を前に出し攪乱し、信長とそれに追いついた供回りなど親衛隊を足止めさせたところで。

私（村上義清）「突撃！！！」

　村上義清率いる旗本隊が足止めされた信長本隊目掛け突進。ただでさえ備えが整っていない信長隊は混乱の坩堝と化すのでありました。

　深志城。

真田幸隆「この軍法を用い、先のいくさで武田晴信を討ち取ることが出来ました。ただその時は神川の意図的な氾濫や私の援軍があってのことでありまして、殿と晴信だけのいくさにつきましては正直な話。危なかったと認識しています。」

私（村上義清）「手持ちの玉薬が無くなったあと、何もすることが出来なかった。」

真田幸隆「同じことをやっていては勝つことは出来ません。しかも此度のいくさは国外であります。事前に備えることは出来ません。」

私（村上義清）「そうだな。」

真田幸隆「ただ今の我らはその時の我々ではありませぬ。」