第238話敵中孤立
真田幸隆が村上義清に対し待機するよう用意した場所。そこは……。
保科正俊「2つの川の合流地点に挟まれた断崖絶壁の上。北は何もありませぬがその道から我らが入りましたので、そこの防御を考える必要はありません。」
私(村上義清)「立地と補給に問題は無いと思っている。」
保科正俊「はい。この地が提供されたことからもわかりますように、ここの勢力は既に我が陣営に入ったことになります。」
私(村上義清)「そこまではいいんだよ。」
保科正俊「問題となりますのが川の向こう側であります。南に松平方の野田城があります。松平と我らの関係は白紙の状態。どうなるかわかりません。」
私(村上義清)「そうだな。」
保科正俊「ただ現状家康は、本拠地の岡崎のことで手一杯。野田城を支援することは出来ません。故に野田城から狙われる心配はありません。」
松平家康は現在、一向宗相手に奮闘中。
保科正俊「問題になりますのが東と西であります。どちらも今川の勢力圏であります。」
私(村上義清)「厳密に言えばここもそうなんだけどな。」
保科正俊「一応川に守られてはおりますが……。」
私(村上義清)「挟み撃ちにされたら……。」
保科正俊「持つかどうか自信を持つことは出来ませぬ。」
私(村上義清)「そうだろ。」
保科正俊「よくそんなところに殿独りを放り込もうとしましたね幸隆様は。」
私(村上義清)「だからついて来てくれたことに感謝しているんだよ。本当(保科の本来の役目)は留守居役だったんだからさ。」
保科正俊「まぁ攻め込まれるような場所ではありませんので。」
私(村上義清)「助かります。それで聞いたんだよ。虎綱に。そうしたらこう言って来たんだよ。」
保科正俊「どのようなことを?」
私(村上義清)「『周辺勢力には全て話を付けています。』と……。」
保科正俊「足助もですか?」
私(村上義清)「いや。足助は違う。あそこは独立を目指しているそうな。」
保科正俊「見せしめのために。」
私(村上義清)「その辺りはあいつらに任せている。出来れば今ある町をそのまま使いたいと伝えている。」
保科正俊「ここも人と物の要地になりそうな場所ではありますね。」
私(村上義清)「川を下れば一気に海に出ることが出来るからな。ただ今は難しいけどな。」
保科正俊「そうですね。」
下流域は松平と今川が係争中。
保科正俊「そこに我らが割って入ろうとしているのでありますから。」
私(村上義清)「当面使うことは出来ないだろうな……。」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます