旅行先で目を覚ましたら村上義清になっていた私。そんな私を支えることになったのがアンチ代表の真田幸隆だった。

第235話足助城

　村上軍三河に乱入。先に傘下に収まっていた信濃吉岡城城主。下条信氏の道案内のもと高遠四郎を先陣に、春日虎綱や真田幸隆など主力を組織した村上軍は三州街道を一気に南下。事前に話がついていたことに加え、馬を使った機動力。更にはまだまだ高価であった種子島と玉薬をふんだんに装備した村上軍を前に行く先々の勢力は服属。三州街道の要地足助城を取り囲んだのでありました。そこを守るのは足助鈴木氏。鈴木氏はここ足助のほか寺部や酒呑などの分家を持ち、今川織田松平と言った周辺の有力勢力に離反服属を繰り返すことにより一定の独立を保ってきたのでありました。出陣より少し前……。

私（村上義清）「今はどうしている？」

春日虎綱「一応今川氏真に従ってはいます。」

私（村上義清）「一応とはどう言う事だ？」

春日虎綱「今川からすれば西も西の外れでありますので、もはや影響力を行使することは出来ておりません。」

私（村上義清）「それどころでは無いと言う事か。」

春日虎綱「はい。加えて織田は美濃へ向かっていますし、松平も平野部に目が行っていますので。」

私（村上義清）「狙うなら今？」

春日虎綱「はい。（今川の勢力圏である）奥三河を攻める以上そうなりまする。ただ彼らを説得することは出来てはおりませぬ。」

私（村上義清）「攻めるしかない？」

春日虎綱「はい。今後の戦略にも影響を及ぼすことになりますので。」

真田幸隆「と言うことは、『開城で許す。』などと言った生易しいものでは駄目と言うことになるな。」

春日虎綱「はい。加えてあそこは松平も狙っている場所でありますし、勿論今川も失いたくはない権益でありますので、彼らが兵を出す前にかたをつけなければなりませぬ。」

真田幸隆「そのためには少々乱暴な手を使わなければならなくなるかもしれない？場合によっては足助の町全てを作り直さなければならなくなることも覚悟しなければならない。と言う事だな。」

私（村上義清）「（ん！？）」

春日虎綱「殿？」

私（村上義清）「どうした？」

春日虎綱「此度のいくさでありますが、四郎の機動力と攻撃力を開放しても宜しいでしょうか？勿論足助より西の松平領にまで踏み込むようなことは致しませぬ。そこは私が責任を以て制御します。」

私（村上義清）「四郎の命が危なくなるようなこともさせるなよ。」

春日虎綱「その手筈も私がやります。そして真田様？」

真田幸隆「どうした？」

春日虎綱「もしも時のため。後方に居ていただくことは可能でしょうか？」

真田幸隆「別に構わないが。」

私（村上義清）「お前（幸隆）のところは大丈夫か？」

真田幸隆「（嫡男の）信綱と（次男の）昌輝がいますので。（矢沢）頼綱はどうする？」

春日虎綱「もしもの時のためにお願いします。」

私（村上義清）「（いざとなったら焼き尽くす気だな。こいつら……。）」

春日虎綱「そして殿？」

私（村上義清）「その後の復興も含め費用のことは気にしなくて良い。存分にやってくれて構わない。」

春日虎綱「ありがとうございます。」