旅行先で目を覚ましたら村上義清になっていた私。そんな私を支えることになったのがアンチ代表の真田幸隆だった。

第221話沈静化には

私（村上義清）「広忠が岡崎に戻って来ることにより、松平宗家に関する揉め事は収まったのか？」

春日虎綱「広忠を亡き者にしようと考える松平のものは居なくなりました。ただ……。」

私（村上義清）「ただ？」

春日虎綱「広忠の岡崎帰還のために吉良や今川など、様々な勢力の助けを借りることになりました。助けを借りなければならないと言うことは、広忠の力だけでは松平を統括することはおろか居城に留まることも出来ないことを示したことになります。」

私（村上義清）「うむ。」

春日虎綱「加えて広忠の父清康は生前。東三河や尾張に進出しています。東三河は今川の影響力が及んでおり、尾張は織田の本拠地であります。幸い今川とは対等とはとても言うことは出来ませんが関係の修復を図ることに成功しました。ただこのことにより広忠が東三河に進出する選択肢は消滅しました。」

私（村上義清）「それどころでは無いと思うが。」

春日虎綱「その通りです。とてもではありませんが他国の強大な勢力と武力で渡り合うだけの力は広忠にはありませんので。」

私（村上義清）「結果的には東の脅威を取り除くことが出来た。」

春日虎綱「はい。しかし清康が撒いた紛争の種は東だけではありません。」

私（村上義清）「尾張の（織田の）ことだな。」

春日虎綱「はい。」

私（村上義清）「織田が三河に進出しようとする意志はあった？」

春日虎綱「はい。それに加えまして西三河の松平が今川と連携することになりました。今川が主導する形で。となりますと自ずと次の標的は尾張になります。」

私（村上義清）「しかも西三河には松平の惣領家を継ぐ意志を持ち、実行に移した信定の家が温存されている。」

春日虎綱「はい。ほかにも足利の一族であります吉良家が２つに分裂しています。」

私（村上義清）「今川が広忠を使って西三河へ進出したように、現地の有力な勢力の中に織田が利用することの出来る候補者がいる。と……。」

春日虎綱「はい。ただ信定の家が広忠打倒の矢面に立つことはありませんでしたし、吉良家につきましても吉良家内の内輪揉めに留まりました。ただ……。」

私（村上義清）「織田は自前の兵で攻め込んで来た。」

春日虎綱「はい。その標的となった場所が清康躍進を支えた穀倉地帯であります安祥の地。」

私（村上義清）「広忠も戦わざるを得ないな。」

春日虎綱「はい。ただ自力だけでは如何ともし難いところがありますので、広忠は今川義元に助けを請います。その条件として示されたのが今の家康を駿府に出すことでありました。途中織田家に売り渡されるなどありましたが。義元からの援軍もあり織田を退けることは出来ました。」