旅行先で目を覚ましたら村上義清になっていた私。そんな私を支えることになったのがアンチ代表の真田幸隆だった。

第210話特典

私（村上義清）「上杉方になった時に得ることが出来る特典なんかあるのか？」

真田幸隆「はい。最も大きな特典は、『朝廷や将軍様と仲良くなることが出来るよう輝虎が責任を持ってあなたを仲介します。』ことになりますでしょうか。」

私（村上義清）「でもそのためには本拠地を留守にして京に上洛し、将軍と敵対している連中と戦わないといけないんだよな。」

真田幸隆「はい。ただ当面その心配は無いと思われます。」

私（村上義清）「京に向かった瞬間。根こそぎ氏康に持っていかれてしまうからか？」

真田幸隆「はい。」

私（村上義清）「上洛するために必要な氏康を倒す気持ちは今の輝虎には無いのだろ？」

真田幸隆「はい。」

私（村上義清）「それでは『将軍様とお近づきになるために上杉方になろう。』と思う奴が現れることは無いよな。」

真田幸隆「確かに。その代案としまして輝虎は、味方をした勢力が官位を得ることが出来るよう口添えをするとのことであります。」

私（村上義清）「『口添えをする。』といってもさ……。」

真田幸隆「なんでしょうか？」

私（村上義清）「カネかかるよね？」

真田幸隆「まぁそうですね。」

私（村上義清）「その金額も……。」

真田幸隆「勿論先方様の出方次第となります。」

私（村上義清）「その際、仲介した輝虎は……。」

真田幸隆「殿の時と同様になるかと。」

私（村上義清）「輝虎にも払わなければならなくなるのか？」

真田幸隆「まぁ輝虎は関東管領でありますので殿の時とは違い、関東の連中に対しそこまで阿漕なことはしないと思われます。ただ朝廷や将軍様がその分を上乗せして来る危険性は残されています。」

私（村上義清）「（かえって恨みを買うことにならないか？）そんな思いをしてまで得た官位だけどさ。それをもらったところで（長らく京の政権と一線を画していた）周りの関東の連中が従うかな？」

真田幸隆「裏書きを得ることにはなるでしょう。『うちが認めたあいつを攻めるとはけしからん。』と……。」

私（村上義清）「『けしからん！』言うても朝廷にせよ将軍にせよ居るのは京だろう？」

真田幸隆「はい。」

私（村上義清）「自前の武力を有していない。」

真田幸隆「穢れを嫌います故。」

私（村上義清）「そんな連中の言葉を攻めて来た奴が聞くと思うか？」

真田幸隆「その時になってみなければわかりません。わかりませんが、肩書を気にするような奴でしたらそもそも攻め寄せるようなことはしないでしょう。」

私（村上義清）「だよね。」

真田幸隆「しかもこの特典でありますが……。」