旅行先で目を覚ましたら村上義清になっていた私。そんな私を支えることになったのがアンチ代表の真田幸隆だった。

第122話そう言えば

保科正俊が小笠原長時を討ち取り、敵方の本陣を制圧した村上義清のもとに春日虎綱が合流。

私（村上義清）「良くやった。」

春日虎綱「ありがたき幸せ。」

私（村上義清）「ところで四郎は？」

春日虎綱「高遠頼継の残党の動きがあるやもしれませぬ故、諏訪の衆と共に上原城に移動させています。」

私（村上義清）「四郎を上原城に……。」

　上原城は元諏訪氏の本拠地で諏訪の後継者は葛尾に滞在。高遠家の養子に入った四郎勝頼の父は武田晴信で母は諏訪頼重の娘。

春日虎綱「いえいえ。今は皆、殿の家臣でありますので。」

私（村上義清）「どのような指示を出しておるのだ。」

春日虎綱「何かあったらすぐに早馬を出すように。むやみやたらに兵を動かすでは無い。と……。」

　保科正俊が合流。

春日虎綱「保科様。此度のいくさは全てあなた様のおかげであります。」

保科正俊「いやいや春日殿。そなたの用兵。見事であった。と（先程会った春日虎綱に貸し出した）家中の者共が申しておりました。」

私（村上義清）「ところで……。」

春日虎綱「如何なされましたか。」

私（村上義清）「そう言えば幸隆の顔を見ないのだが……。」

　大門峠を越え、上原城に入るまで村上義清と行動を共にしていた真田幸隆。

春日虎綱「真田様でしたら『やることがある。』と言って上原城をあとにしました。」

私（村上義清）「……やることがある……。どちらへ向かったのだ。」

春日虎綱「大門峠の方へ。何やら急いでいる様子でありました。」

私（村上義清）「……大門峠……。と言うことは尼ヶ淵……。しかし別に今。あそこに問題となるようなことは無いと思うのだが……。ん！？これはまずいぞ！！」

春日虎綱「如何なされましたか。」

私（村上義清）「急ぎ兵を松本平へ動かす！！」

春日虎綱「えっ！！何故！？」

私（村上義清）「あいつら（真田幸隆、矢沢頼綱兄弟）。松本平を占拠するつもりだぞ。」

春日虎綱「それでありましたらこれからやるべきことであります故……。」

私（村上義清）「そうではない。あいつらが兵を動かすと何をやるかわかっているであろう。」

春日虎綱「……そうでしたね。」

保科正俊「どうされましたか。」

春日虎綱「真田様と矢沢様が得意としているのは大量の玉薬を駆使した火攻め。正しくは爆破であります。これまで幾度となく大きな戦果をあげて来たのでありましたが、その都度。町もろとも破壊してしまっておりまして……。もし殿が仰るように真田様が松本平へ兵を進めていましたら……。」

保科正俊「それ程の……。」

私（村上義清）「とにかく兵を動かす！目的は幸隆から松本平の民を守ることである！！」