旅行先で目を覚ましたら村上義清になっていた私。そんな私を支えることになったのがアンチ代表の真田幸隆だった。

第95話用済み

春日虎綱「城の東と南に障害物を必要としない。むしろ無いほうが良い勢力……。」

　今川氏親のこと。

私（村上義清）「氏親からすれば、豊川北部に大きな勢力を持つ牧野を倒せばそれだけの富を得ることが出来る。そのことを念頭に置いて、その前線基地となる北と西からの防御に適した城が出来た時点で牧野（古白）は用済み。」

真田幸隆「あとは『約束と違うではないか！！』と言う出来事を積み重ね、牧野が反旗を翻してくるのを待つだけ。」

私（村上義清）「ただ氏親には、まだ直接三河を支配するだけの地力を持ってはいない。三河に居る別の勢力を使う必要がある。牧野を駆逐することの出来るものは居ないか……。で白羽の矢が立てられたのが。」

　南から豊川へ向け勢力を拡大し続ける戸田氏。戸田氏は尾張沿岸部を拠点に知多半島へ進出。そこから海路渥美半島に渡り、三河南東部を制圧。豊川の支流朝倉川沿いの丘の上に二連木城を築城。

真田幸隆「この城も北を川で守られています。ただ牧野とは異なり、北以外の三方を戸田が抑えています。しかしその地は牧野と今川が狙っている場所。挟み撃ちに遭う危険性を孕んでいます。」

私（村上義清）「戸田にとって幸いであったのは、今川と牧野の関係が悪化していたこと。戸田は取り急ぎ今川との関係強化に乗り出し成功。今川戸田が連合し、牧野古白が入る豊川南の城を急襲。古白は討ち死に。城が出来てわずか１年後の出来事。」

春日虎綱「悪いことしますね……。」

真田幸隆「そんな人ばかりですよ。その落とした城には戸田が入ったのでありましたが。」

　戸田も今川同様勢力拡大を目論んでいました。

私（村上義清）「戸田は伊勢神宮領を簒奪する形で成長して来た。」

春日虎綱「神をも恐れぬ暴挙でありますね。」

真田幸隆「殿が善光寺を襲うようなものですよ。」

私（村上義清）「（……やってません。）その流れで戸田は遠江にも進出。いつもの手口で自分のものにしたところで。」

　今川氏親から『待った』がかかるのでありました。

春日虎綱「『遠江は俺の領国だ！手を出すんじゃない！！』と言ったところでしょうか。」

真田幸隆「戸田は戸田で『お前（今川氏親）に従った覚えはない！！』と反発。」

私（村上義清）「牧野（古白）の時と同じ状況になってしまい、戸田が今川管轄の城を攻め落としたことを口実に氏親は軍を派兵。瞬く間に豊川以南を制圧。ただまだ今川が三河を直接支配することが出来なかったため、三河に居る別の勢力の助けが必要であった。」