第20話酒の量を決めるのは

21世紀に暮らしていた時の私は健康診断などで医者から


「塩分を控えてください。」


とか


「休肝日を設定してください。」


と言った指摘に加え、新型ウイルスの対策もあり。渋々指導に従いましたり、それらを口実にしまして会いたくない相手との会食を回避する理由に使っていたのでありましたが、村上義清の朝食は?と言いますと


「朝から酒盛りと言うことはよくある話でありまして……。」


言うても私は戦国大名であり、源氏の出。それなりの身分の方が訪ねて来るものでありますから私はそれ相応の対応をしなければなりません。当然、お酒が並ぶことになるのであります。朝から。相手が飲んだ分こちらも飲まなければなりません。それが当時のマナーであります。今みたいに


「私、飲めないので。」


と言うことは罷り通りません。基本、1日2食でありましたが宴席は昼に設けられることもあります。そうなりますとまた出て来ます。水の如く透き通った子供は飲んではいけないあいつが。子供にとっては毒でありますから。でも大人にとっては百薬の長。相手はいいかもしれません。その場限りでありますので。しかし私はどうでしょう。朝食でも酒。昼の宴席でも酒。酷い時は仕事が終わった夕食でも酒と……。




 当然、宴席でありますので会話が弾みます。酒も手伝いまして声が大きくなりましたり、踊りなんかを始めるものも出て来ます。歌うものも出て来ます。もしこの中の誰かが


「……伝染病を持っていたら……。」


正直な話。


「ひとりにさせて。」


の心境であります。




 食事のほうはどうなのか。と言いますと、戦国時代の信濃には冷蔵庫冷凍庫と呼ばれる類のものはありません。当然です。電気がないのでありますから。物流と言うものは存在していましたが、1日3便決まった時間に頼んだものが滞りなく届くわけではありません。川を船。もしくは陸を徒歩のペースで運ばれてくるのであります。もちろん冷凍冷蔵設備を持った輸送手段はありませんので、特に海の魚。ここ信濃は内陸でありますので、とれたてを新鮮なまま食べることは出来ません。それなりの処理をしなければなりません。同じことは冬に食べる野菜にも言えるのであります。その方法となりますと


「……塩。」


雪に閉ざされ荷物が運ばれない事態に陥ってもよいよう蓄えておく必要があります。21世紀の現在においても常にインスタントのラーメンを用意している地域もあるとか。このようなものが食卓に並ぶことになるのでありますから


「……多少の塩分過多は許してもらえないものかと……。」


「1日2食でありますので……。」


もちろん


「お客様が来訪される時はその限りではありませんが……。」


その分


「ほかの食事の時調整しますので……。」




 今朝は独りでの朝食。時間は午前8時。朝の打ち合わせで何かあったかな……。そう言えば


「流民が増えている。」


と言っていたな……。

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