3の数だけ増えるアホ毛
「ねえ、アホ毛って何?」
おおっと、八坂さんがまーた訳の分からないことを言い出したぞ。
向かいに座ってる霧崎君は不思議そうに首を傾げた。
不毛な会話の始まりだ。俺は横で聞かせてもらいましょうかね。
実況解説担当の永瀬花梨がここにいるわけだ。
「アホ毛……アンタの髪質のことじゃないんです?」
これはわざととしか言いようがない切り返しだ。
てか、ボケをボケで返すな。余計ややこしくなるだろうが。
「いや、そういうことじゃなくて。
アホ毛って言葉はあるけど、バカ毛って言葉はないよなって」
八坂さん、霧崎君のボケを華麗にスルー。
真面目に話を続けます。
「あー、そういうことですか。
確かに言われてみれば、聞いたことないかも。
でも、ワックス使えば同じじゃないですか?」
霧崎君、八坂さんを追い詰めていく!
元も子もないことを言ってやるな! 何かかわいそうになって来ただろうが!
「そんな悩むことですかね、アホ毛って」
残念! 話を分かってくれなかったー!
正面からばっさり叩っ斬られました!
「いや、そうかもしれないけど……」
この返答に八坂さんも困惑しております。
話をどう続けるつもりだ! ここで試合終了か?
「髪の毛まとめたりするとき、アホ毛って出るよね? マリナさん」
「え、何? どういうこと?」
相手にならないと判断したのか、通りすがりのマリナさんにまさかのキラーパス! とんでもない無茶振りがマリナさんを襲う!
「アホ毛って何だと思う?」
「アホ毛……?」
突然の質問に言葉を詰まらせた! マリナさんめっちゃ困ってんじゃねえか!
俺いるんだから、こっちにボール渡せや!
誰彼かまわず話題振ってんじゃねえ!
「あほの毛だから、アホ毛なんじゃないの……?」
ほら見ろ、絞り出した答えが正論だぞ。
セイロンティーぶっかけられたぞ。
「マリナさん。この人はアホ毛のアホの子なんで、構うことないです」
「アホ毛のアホの子ってなんだよ! そこまで言われる筋合いはない!」
「さっきから何なんだよ、この会話は!」
「おぉ! ようやく喋ってくれた!」
「え、何でそんなに嬉しそうなの……?」
「めずらしく黙ってたな、すっげえ会話に混ざりたさそうな顔してたけど」
「お前らの会話が謎すぎてついて行けないんだよ!」
「なら、そう突っ込めばよかったじゃん」
「ツッコミどころ多すぎなんですよ!
なんでアホ毛なんだよ! どっから出てきたんですか!」
「いや、なんか気になっちゃって……あるじゃん、こういうの」
「これが噂の鳥頭のアホウトリオ」
「アホウドリが三羽揃って、アホウトリオか!
マリナさん、今のいいですね!」
「いやいや、永瀬君のキャパが超えそうだから、そろそろやめてあげて」
「アンタが言うな!」
俺のツッコミで話は強制終了。お疲れ様でした。
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