第7話 ゆきとけ

それは、スノゥ・フレイクと

スノゥ・ウィに


春の訪れを告げに来た、あしあとだったのかもしれません。


ふたりは、雪とけ水になって

清らかなせせらぎを流れていきます...



ささやかな流れは、せせらぎになって。


谷へと向かいます。



…あ。



長い冬を、しあわせにすごした

丘は、いまは

見上げるような高さです…



…もう、戻れないの?



スノゥ・フレイクは

過ぎてきた日々を思い出し

さびしい気持ちになりました。



もう、雪のひとひらでもなくて

水玉のひとしづくになってしまった、その事も。



…わたしが。



望んではいないのに、こうなってしまった…



ちょっとだけ、そんなふうにも考えました。



「いろいろあるよね」



少し離れて、スノゥ・ウィは

そう言います。


せせらぎに身を任せたまま、ふたりは、そんな会話をします…



流れは、谷に集まって。



春の小川となりました。


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