第百四十七話 石畳の街道でドーデスネンへ
「よし!起きられたっつ!!」ドーラ
日の出前だ。
ユータとローラの毛布を剥ぎ取り、
「おらおらおらああ!出発だーー!!!ものども起きろーー!」
ーー
かたかたかたかたかたかたかたかたかたかたかたかたかたかたかたかたかたかたかたかたかたかたかたかたかたかたかたかたかたかたかたかたかたかたかたかたかたかたかたかたかたかたかたかたかたかたかたかたかたかたかたかたかたかたかたかた
石畳を早足で走る二頭立て馬車。
馬車に乗ってもまだ眠そうなローラとユータ。
道が良くなったせいで昨日の馬車より揺れないし、風も心地よいし、単調な音も眠気をことさら誘う。
うむ、ユータは若さが足りないよな、昔から。とか思うドーラ。
でも、やっぱ良くなった道はいいよなー。
「おっちゃん、道良くなったね、どうだい?」
ドーラは御者に感想を訊いてみようと思った。
「あー、速くなったし、雨でもぬかるまねーだろーからいいな、、ただ、蹄鉄が今までのでいいのか、少し不安だよな。皆様子見しながら走っているよ」
「え?石だと違うの?」
「うーん、どうだろ?でっかい街だと、街なかだけの馬車あるだろう?でもあれは距離走らないからなぁ、、俺らみたいに距離走るのは、、まだ誰もやったことねーんじゃねーかなぁ、、」
「そっかー、、馬の足だもんなぁ、、」
「そういうことだ。足痛めたら大変だからな。」
魔法使いでもそういう方面が得意な者なら、今の馬の足の具合とかもわかるだろうけど、、、俺はわからん、、
あっちの世界のゴム、運動靴の裏みたいなの使えばいんだろうか?、、こっちじゃ見たこと無いしなぁ、、
わからんっ!!今度ダンマスに相談してみよう。
朝飯休憩。
日の出からほどなく出発したので、朝飯休憩がある。また茶屋。
ご飯ものがあったので、ローラは喜んでがばがば食べていた。
そのうち御者達の間で有名になるんじゃねーの?大食い少女って。
ユータとドーラは軽くそば。
天気もいいので、やはり眠気がおそい、昼休憩まで3人とも、というか、乗客は皆寝ていた。
昼も茶屋。
時間的に丁度町や村の間で休憩時間が来てしまっているようだ。まぁ、茶屋の飯ってうまいからいいけど。
ここではうどんがあったので、煮込みうどんにチャレンジするローラ。ご飯も頼んでうどんだけ食べ終わった汁の中に入れ、食べる。
うまそうに見えたのだろう、他の客達もごはんを頼んで、普通のそばの汁の中でも入れていた。
そばの汁でもうまいけどね!!
ちなみに、船乗りの地方によっては、汁に沈めることを嫌がるらしい。沈没につながるとか。だから飯に汁をかけるそうだ。ほんと少数らしいが、船に乗っている時は聞いてからやるほうがいいかもね。
夕方早くにデカイ街に到着。
「国境の街はこの倍はあるそうだ。」と御者。御者仲間か旅人からの情報だろう。いろいろなことを聞けるのだろう。面白そうだな。
ドーラは長くダンジョンにこもっていた。だから知らないことが多かった。遊びに来てくれる仲間の話を聞くだけのことが多かった。話を聞くのは面白いし、いろいろ想像して楽しかった。
でも、仕事柄外に出られないし、出たいともあまり思わなかった、というか、出られると思わなかった。出てもどうするか?ひと形態になったこともなかったし。最初からひとがたに近い形態の者達とは違うのだ。
だから聞くだけでいろいろ想像して楽しんでいただけだった。
だから、いつからか、話を聞くことも好きになっていた。
自分で見聞きするのはもっと好きだが、一人でできる・動ける量など、どんな頑張ってもやはり頑張った一人分でしかない。とも、いつしか思うようになっていた。
それでも、他者の何倍もあるかもしれないフィジカル能力だが、それでも、それだけでしかない。
でも、いろいろな者たちから話を聞けば、その者たちの経験したことなどを知ることができる。
他の人生の経験を少し知れるのだ。ドーラにとってはとても面白いことだった。
「おっちゃん、この街って、なんか美味いものとかおもしろいこととかあるの?」
「あー、、、飯はだいたい美味いな、、北に近づくにつれて旨くなっていく。あとは、、市場がでかいな、今時なんでもある市場だ。こっから北は、小さい市場でも結構モノがあるけどな。
あ、酒とケーキが美味いぞ。」
酒とケーキぃ?
「取り合わせ、、、」
「あっはっは!ケーキ肴に酒飲むってんじゃな・・、、、、いや、、いるなぁ、、、たまに見るわ、、、俺はやったこと無いけど、、、どーなんだろ?」
わからんがな、、
かたかたかっ、かたっつ、、、
「到着ぅーー、お客さん達お疲れ様!!ドーデスネンに到着しましたー!!」
「おっちゃんおつかれっつ!ありがとな!」
ローラとユータを揺さぶって起こし、
「あ、おっちゃんメシウマ宿ない?」
「市場の近くならどこでも当たりだけど、晩飯屋って宿がおすすめかな、向かいに朝飯屋ってのがあるが、、晩飯屋の息子がやってるんで、親父のほうの晩飯屋のほうが美味い」
「ありがと!!」
ほら、宿行って風呂行って飯だ!
と発破かけて2人を歩かせるドーラ。
引率の先生だなドーラ。
宿で部屋を確保し、風呂に行くために外に出た時に思い出したドーラ。
あれ?俺ら、旅しに出たんだったっけ?
・・・・冒険者やるって、、
ま、いいっか!明日ギルドに行ってみよう。面白いのがあれば受け、なけりゃ食べ歩きでいっかー。
流石ドーラである!! ・・何が流石なのだろうか?
風呂屋は、流石街がでかいだけあって風呂屋もでかい。浴槽もデカイし3つある。
湯に浸かってるときに他の客と話したが、温泉だという。
臭くない方の温泉。
湯上がりには、ここでは外に売店があってエールも売っていた。氷を入れてくれるという。
なので、冷えたエールを湯上がりに飲んだ。
「っぷっはーーーっつ!!!」×2
「いや、うまいわっ!!」ドーラ
ユータはまだぐびぐび飲んで、、、最後まで一気に飲みきってしまった。
「ぶっはー!!これは、、イイっつ!!」ユータ
ローラが出てきた。同じ売店で果物ジュースを買う。
ローラも少しづつお金の使い方を覚えてきた。
宿に向かって、店を覗いたりしながら歩いてる。
棚に隙間が多い店もまだあるが、でも食料品店とかはかなり品数がありそうだ。
飲食店も、もう夕方も夜近くなので混み始め、大都市の下町によくある光景になっている。
宿に着き、そのまま食堂に座り、晩飯定食を注文。メシウマ宿の飯はたいがい定食が良いのだそうだ。
この宿にも客が多く、食堂はほぼ満席。酒を飲んでる客も多い。
「なぁ、この国、つい最近戦争でエライ目にあったんじゃなかったっけ?とてもそうは見えないよな?」
と、ドーラがユータに言うと、隣の席のおっさんが、、
「あんちゃん、、そりゃーな、クズ共が消されたから逆に良くなったんだよ。あのままだったら戦争に勝ったとしても、俺らは困窮して餓死でもしてたんじゃねーかな?負けて万々歳ってとこさ!」
ああそうだ、敗戦バンザイだぜ!!と、他のテーブルからも声がする。
「おにいちゃんたち、外国から来たみたいだから知らんだろうけど、この国は以前は税やらなにやらいろいろ名目付けちゃ俺らからぶんだくっていた。多い領地じゃ9割ってとこもあったらしい。当然皆逃げ出すけど、領主は領軍使って、逃亡阻止してたとよ。
おれんトコは7割だった。老人の居る家は厳しかったようだ。子や孫に悪くて、夜中に家を出て行ってしまった、とかよく聞いた。
だが、今は?1割程度だ。
敗戦のおかげだよ。奴等が全部死んだんで、ミカロユス将軍が国土を平定し、まともな新王建てて、今こんな感じにした。
南で前王の軍を全滅させ、ミカロユス将軍の軍は見逃し、王都と南の領をつぶした敵に大感謝だ!」
と、
おっさんはエールのジョッキをかかげた。
他のテーブルの者たちもジョッキとか水のコップを掲げた。
「敵の勝利に!!」
「「「「「「敵の勝利に感謝!!」」」」」」
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