第百四十五話 ローラ、ミカロユス、ドラゴニアへ


市場を出た後、ローラの服を見に通りに出た。市場でローラが服にも興味を持ったようなので。ローラと見た目同じくらいの娘達が様々な服、たまにきれいな色合いの服を着ているのを見たからなようだ。ドラゴニアの縫製班の子達が染色もかなり進め、その技術がいつの間にか広まっていたと見える。ドラゴニア成立以前には見られなかったもの。


通りにはそれなりの服屋もあった。最近は一般の者達でもそこそこの服を着るようになった。結婚式にとか。

税が下がって、所謂可処分所得が増え、少しは”以前では到底考えられなかった、でも夢に見ていた事”が可能に成ってきたのだ。


更に、一応名目上であれ、ローラは冒険者になったので、冒険者らしい茶色系wの丈夫な服と革製の胸当てや手甲、ブーツを買った。剣も買おうかと見たが、

「すぐ折れちゃうと思うな、、」ドーラ

ユータのはユータ専用の魔力を載せる剣だし、ドーラもしょぼい剣でほとんど使わないが、使う時は魔力を載せて折れないようにしている。


とりあえずローラに剣を買うが、魔力を載せて使う使い方を教えないと、、、というか、棒きれでもいんだけどね。魔力載せて鈍器としてw

ユータとドーラは、剣を使った時は「ズバッ!」となるのがカッコイイ!から使っているだけで、本来魔法だけで十分だ。

ローラはおいおい”ローラがカッコイイと思う方法”を見つけ出すと思う。



買ったものをユータのストレージに入れて、ミカロユスの勧めた宿に行く。


「あ、将軍から聞いてます。1泊でお部屋2つ取っております。」宿の主人。

会計も済んでいるという。

すごいね将軍!!


宿には風呂がなく、市場の近くにいくと銭湯があるという。

行ってみる。


風呂屋の前で、

「ローラ、風呂って知っているか?」

「何それ?おいしいの?」・・お約束だ。


男湯に入れることもできないし、、どーしよ?と話していたら、

「何?この子お風呂入ったこと無いの?んじゃあたしが教えてあげるから大丈夫だよ!」

と、風呂屋に来たところであろうおばちゃんが言ってくれた。


「「お願いします!!ありがとうございます!!」」ドーラ、ユータ


ーー


体を洗って、湯船に浸かっているドーラとユータ。

「・・・よかったな、、」ドーラ

「うん、あーゆー人が居てくれて、、、生き残ってくれてよかった」ユータ


でも、ドーラやユータ達には一人一人選別なんか不可能だった。


多くの者たちはナディ達みたいに逃げ出すことが出来たろう。逆に悪党は多くの資産や利権があるので逃げるのを躊躇しているうちに潰された。

しかし、一般のまともな人、良い人はより貧乏だった当時の社会、しかもそういう心の良い人はそれなりに聡明なので、家族を守るために”危険かもしれない”と感じたらすぐに逃げ出すようにしていた。それがドラゴニアに来たし、王都で潰されるのを逃れていてココにも来たのだ。


”何が大事なのか?大切なのか?”を知っている人達。そういう人達は、自らのちからで生き残っている。


大きな”ふるい”にかかり、生き残るべく人達、は、生き残る方向に自ら行ったのだ。そして、今この街のように、いい人達による良い街ができている。


それを、風呂にゆっくり浸かっているときに、ドーラもユータも不意にわかった。


だから、あのおばちゃんはユータ達が困っているのにも気づいたし、自分ができることで手を差し伸べてくれたのだ。賢く、いい人だから。

ほんの少しの親切な行い。でも、それはそれだけはなく、それまでのその人の積み重ねで、それがあったのだ。


ユータも、ドーラも、なんか嬉しかったし、でも、少し悲しくもあった。


ーー


風呂を上がって、風呂屋の外の縁台に座ってローラが出てくるのを待つ2人。

側に、風呂上がりの人達のためだろう、冷たい飲み物の屋台が来ている。4輪荷車の屋台。市場の中の屋台以外はほとんどこの様な屋台だ。売り歩いているのだろう。天秤棒よりも多くのことができるから。


ユータが氷の入った飲み物を2つ買ってきた。

「うまいな、氷入っているし、、」ドーラ

「いつの間にか魔導冷凍庫も広まっているみたい。高くないって。あのおじさんちにもあるんだって自慢してた」ユータ


「よかったな」

「うん」


ユータとドーラがテイナとニヤと開発した魔導冷蔵庫、冷凍庫。いつの間にか広まっていた。

魔石を使わないので、最初に魔力を与えて動かし、半年に一度くらいまた充填すればいいだけ。コストも安い。

今は、ドラゴニア以外でもそこそこ魔力を使える者も出てきているようだ。


同盟内だと、ドラゴニアの子達が出ていってるので、そういうところでも活躍している。

ここももうじきに同盟に入るだろう。もっと、皆楽しく暮らすことができるようになるといいな。

そんなことをドーラもユータも考えていた。


飲み終わった頃、ローラとおばちゃんが出てきた。

3人はおばちゃんに礼を言い、おばちゃんは気にするな、お互い様だよ、と言って帰っていった。

ローラはじっと、ドーラとユータの手元を見ていた。

気づいたユータはローラにも冷たい飲み物を買ってあげた。


喜んで飲み物を飲みながら歩くローラと一緒に、ドーラとユータは宿に帰る。


ーー


翌朝。

朝食。

「朝も食べるのねー、」ローラ

「ひとは今は一日3度食べるんだ、いいだろう?」ドーラ

獣や魔獣やモンスターとかは一日一度、中には2−3日に一度、というものもいる。


「すごいね!でもでぶっちゃうね!」

「いや、一回に食べる量は少ないからな。でも夜のメシは結構食う。ローラもそのうち慣れるから・・・・多分、、」


「朝食食べ終わったら、また外に行くからね。ケーキも食べに寄るから、朝食はあまりガッツリ食べないでもいいからね!」ユータ

ローラは昨晩の夕食もものすごく食べたので、宿屋の主人や他の客達も目を丸くしていたのだった。

「一体、、どこに入るんだ?」と。

ある者がつぶやいた

「胃袋に、ストレージ持ってるんじゃね?」



それからケーキを食べに喫茶店に行き、ローラは昼近くまでケーキを食べ、昼になったら市場に行って昨日の屋台の多いところで昼を食べまくり、その後市場を見て回りってから通りに出てケーキ屋を探し、新たな店を見つけてケーキを食べまくるローラ。

ドーラもユータも腹一杯なので1個ずつしかたべられなかった。


「あ、晩メシの用意お願いしておかなくっちゃ!!」ユータ

「そうだな!ローラだもんな!!」ドーラ


普通くらいしか食べない人なら数人がいきなり来ても対処できる邸の厨房班。だが、ローラだ。

10人前で足りないだろう。前もって言っておくべきだ。

ドーラが、長距離念話を受け取りやすいニヤ(獣人なので魔力多いし、更にダンマスの特訓で更に増えてる)に、バカ食いするドラゴン人ローラを連れて行くから20人前くらい頼む、と頼んだ。勿論ケーキもバカ食いするからね!とも添えた。


更に、リターニャの将軍を連れて行くからガンダに伝えておいて、と伝言を頼んだ。


「やばいやばい、忘れるところだった!!」

と、焦ったドーラとユータ。


食べ物が足りなくって悲しい顔されるのは嫌だよね?


ーー


ギルド

「おまたせしました。用意できましたのでお願いいたします」ミカロユス

「んじゃユータ、」ドラ

「ん!」

シュン!


4人はドラゴニアの邸(名目は王宮。でもそこまで大きくない)に跳んだ。


「「ただいまー!」」

「おかえりー!そしていらっしゃーい!」皆

皆食堂に揃っていた。


その場で紹介

「この子が、俺の後輩で今の現役のダンジョンボスのローラ。俺らと冒険者はじめる。」

ぎょっとするミカロユス


「で、こちらが、俺と同盟組んでいるミカロユス将軍。元リターニャの将軍だ。今は裏山の峠の向こうの領にいて、街道整備の指揮をとっている、元リターニャ、現北西王国の裏ボスだ。ガンダ、あとは頼むね?ウチを見せてあげて、あといろいろ同盟とか適当に決めてください」

丸投げドーラ


「で、彼がウチの宰相で、冒険者パーティ銀月のリーダー、ガンダ。・・・

それからは皆、各自紹介を始めた。


ミカロユスとローラは興味深く聞いていた。

ローラは、こんなまとまった人間たちのグループにあったことはないし、その紹介というものはじめてだった。

ミカロユスは、、国王、宰相や重鎮が、、ラフなカッコで、、子どもたちと一緒になって同じ物を食べている、という光景が、、、軍でも珍しい方なのに、、、と、戸惑っていたが、、まぁこんなもんなんだろう、ここは。と、すぐに割り切ることができた。

なにせドラゴン人なのだから。しかも、現役のダンジョンボスがいるんだから今ここにっつ!!


半分正気を失ってる感じのミカロユス。


ダンジョンボス、魔力量が判る者であれば、すぐに納得できるだろう。

ミカロユスもドーラの強さを判った強者。ローラが普通でないことは、最初にあったときからなんとなくわかっていたのだった。


晩メシを、皆で食べた。

ミカロユスは、見たこともない食べ物(ハンバーグ定食、味噌汁のある和風定食)と、食後のアイスクリームに感動。

ローラはその食いっぷりに、主にニヤと子どもたちに人気になった。


食後、居間でミカロユスはガンダたちと酒を飲み、ローラはケーキやアイスやクッキーなど食い続けた。

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