第六十九話 なんにも問題も無い日


2−3日、夕食にステーキが続いたので子どもたちも喜んだ。しかもなんかいつものよりオイシイと一層喜んでいた。

その顔、声、で、ドーラとユータも嬉しかった。


ダンマスも食べても意味ないのだが、皆と一緒に食べるという行為、が好きなので、食べている。

「まぁ、、さすが変異種、といいますか、、肉の味が濃くて食べている気に成りますね。塩と胡椒のみで充分堪能できるものですね」

と、まぁ、栄養にならないけど、舌は充分に機能しているようなダンマスの様子。


んじゃあ、とドーラが訊いてみる。

「ダンマス、魔獣の中で一番オイシイのって、何?」


「・・・・・・さあ?、、いや、だって、こうやって食べるのって、ここに来るようになってはじめてですよ?、そりゃ今までだって人間と付き合いもそりゃ何度もあったけど、、一緒に食事なんて、、干し肉かじるとか、、果物もいで食べるとか、、その程度でしたからねぇ、、」


「あ、それじゃ、向こうの世界でも」

「ええそうですよ?私が一人で行動しているときの半分は、食事に行ってますかね。でも、なんか大きい食堂になればなるほど、皆同じような味ですね?なのでこんどからは小さい食堂ばかり攻め込むことにします」

不穏な言い方、、

で、残りの半分の時間が気になるけど、訊かないほうがいいかな?


「しかしここの飯は美味いなー、、ゴンザールもだいたいどこでも美味かったが、、ここはなんか種類が違うというか、、、」ジョニー

ジョニーさんは国民と同等でこっちに出入りできる。

なんか、ガンダさん達とも頻繁に話をしたりミーティングしている。

ジョニーさんは各国を通ってきたし、各地の魔獣の森を結構知っているし、冒険者達の知り合いも多いし、皆から慕われているし、、すごいのだ。そのくせ全く偉そうにしない。


「最初、自分のこと普通とか言ってたもんな、、多分あれ本気でそー思ってたんだぜ?」ドーラ

「うん、僕もそうくさいなと思った。ドーラに突っ込まれてやっと自分が強いってわかったみたいだったよね」ユータ


ジョニーさんは天然のところがあるのかもしれない。

(ユータもな、、)ドーラ


「塩や胡椒もふんだんに使われているけど、、油をよく使うよね、、獣脂ではない油。さっぱりしていてあれはあれでうまいよな」ジョニー

「植物の油ですよ。こっちの畑の奥のほうがお花畑になっているでしょう?あれの種がこの油になるんです」

とテイナが説明してる。

こっちで油と言えば森のオークから取ったラードになる。肉を揚げるにはいいけど、他のものに使うのはしつこいし匂いが気になることにもなる。


「もっとも、今日はトンカツなので、オークの脂身を使った油ですけど、作りたてはおいしいでしょう?」

「ああ、うまい。肉に関しては肉の油を使うのがいいよな」

一人でゴンザールまで生きて来たので、大概のことができるジョニー。料理も結構できる。


ただ、知らないソース類、香辛料などが多いこの邸。ジョニーは頻繁に厨房に入っていろいろ聞いている事が多い。

ただ、

「他では手に入らないので、ジョニーさんは使う分持ってっていいですよ」と厨房責任者のテイナとニヤには許されている。


厨房のことではガンダでさえテイナとニヤには逆らえない。食材を調達してくるユータやドーラでも例外ではないようだ。


こっちでのとんかつソースは自家製。日本のようなソースではなく、西洋料理で言う所のソースになる。

トマトベースにして塩、香辛料、油などを加え、その時に使うものに合わせて作っている。

今回は小さいきのこの薄切りや香草、人参、ニンニク、唐辛子のみじん切り、を入れ煮込んだもののようだ。

食べる直前にかける。でないとぱりぱり感がなくなるので。


ただ、

今の人数が人数なので、邸の食堂で食べる者達は約50人。

大通りの大食堂で食べる子達が約100人。

噴水より奥に行ったところの食堂で食べる子達が50人となっている。

一番奥はこれからまだ増えていくだろう。


なので、一日ごとにテイナとニヤがまわっていく。

つまりテイナとニヤが隊長となってる厨房班の食事は3日に一度。

でも、初期からテイナとニヤに着いて学んでいた子達はもうかなりの腕になって、各場所のリーダ、サブをやっているので、テイナとニヤがいなくてもかなりオイシイものを作れているはずだった。


「くいもんだけは、できるだけオイシイものを腹いっぱい食わせてあげたい」

これが、銀月と満月の総意だ。


ジョニーも似たような境遇だったので、そこはようくわかった。


ーー


ユータとドーラが水路ダンジョンに降りていくと、船はちょうど出たあとだった。

が、すぐにおくからまた現れた。

「へぇ、、何隻もあるのか、、」ドーラ

「はい、増やしてますよ。ここのダンジョンはあまり魔力消費しないので、船はどんどん作れます。お客さんがいくら来てもダイジョブ!。果物もやまもりあるので、持っていってください!」


といつの間にか現れていたモモンガ(むささび)船長からリアルに山ほど貰った。ストレージあるからいいけど、なかったら10tダンプ10杯はいくんじゃなかろーか、、


あれ?

「船長、んじゃほかの船には誰が船長を?」と訊いてみる

「え?僕ですよ?ほら!」

と分裂した、、、、、


あー、、ダンジョンだからね、、

2匹のモモンガがスイスイ飛んでいる、、、なかなかいい眺めである。

もふりたくなってくるユータ。


果物を貰いに来たので、目的を果たした2人は邸に戻る。


量が多いので

「干しましょう!」テイナ


皮ごと食べられそうにないものは皮を剥く。

種が容易に取れそうなのは取る。

薄く切れそうなのは薄く切る。


薄いのはザルに並べる。

まるまんまは、へたを糸で結んで一本の糸に10こ、20こ、と大きさによってわけて縛る。で、吊るして干す。


その日はテイナとニヤとドーラとユータで一日干し果物作りだったが、なんか昔みたいで楽しかった。

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