第9話 今日も動物愛護すぎ
私の元へ来るペット(の表現が苦手なので以外動物と表現)は、どんな子でも私のご寵愛を周囲の人間がドン引きするほど受ける。
否、むさ苦しいほどの私の愛情を浴びる。
中学生から音楽の時間ではアルトを担当するほど女性としては低音なうえに、小声なので、基本、人間関係は静かに進む。
その私の声が、動物達に対しては声のトーンがワントーン上がる。
高校生から暮らしだしたフェレットが、私の幸せな動物愛護人生の始まりだ。
ここから先は、自分でもドン引きしてしまうので好奇心旺盛な方だけ読んで頂ければ幸いです。
子供の頃から夢だった、犬と暮らしたいために毎年のお年玉を貯め、小学生から質素な暮らしをしていた。
優等生で、両親や親戚が望む高校にも必死に勉強し合格し、無事、高校生になった時、私の欲のたかが外れた。
「ハムスター飼いたい!」
残念ながら、当時住んでいた場所は集合住宅で、犬や猫は禁止だった。
妥協に妥協した、唯一の動物だった。
今思うと、ハムスターを溺愛している今の自分がいるため、高校生の自分をはたきたくなる。
ペットショップで、家族で行って見たものは、愛くるしいハムスターではなく、明らかなエキゾチックな雰囲気をかもし出すフェレットだ。
「この子がいい!」
フェレットを見た両親は、凍りついた。ちょうど子供の時に世代的には、
まだ道の端にどぶがあった両親からは、どぶねずみに見えたらしい。
ネズミの種類に近いのは明らかにハムスターなのに。
かたくなに譲らない私にあきれて、一週間後にその子は、うちに来た。
まず、手を噛まれた。
血をだし半泣きで消毒をしてから、軍手でのお世話が始まった。
ケージのすみで背中を向けて、ご飯も食べる時は見ていない時はなくてだけ。しかし初めての動物が可愛くて仕方ない私は、飼育本を片手にフェレットについて、勉強し、ワントーンあがる声で名前を呼び、甘やかす。
一週間後には、ケージの出入口で私をじっと待ち、噛みはするが、あまがみになり撫でても怖がらなくなった。
病気をすれば両親や動物病院の先生が、ドン引きするほど深刻に落ち込み、夜中でも遊べケージのドアをドスドス叩けば、執事の如く、私が抱っこし誰もいない部屋で1時間は遊ばせる。
飼っていると言うよりは、暮らしている、暮らしていると言うよりは、暮らさせて頂いている(?)だ。
その子が亡くなった後、私は酷いペットロスになり毎日泣いたり、後悔したりの繰り返しで、立ち直るまでにずいぶん時間がかかった。
それからは、家にいる事も少なくなったので、アカヒレと言う小さな鯉科だが強い魚と暮らし始めた。
一番驚いたのが、半年くらい経過すると私が水槽の前でご飯をあげようとすると、分かって近くによってくる。
愛しすぎた。2匹いたアカヒレは、寿命で亡くなったが、それでも最期を看取った。
魚は弱ると、ご飯も食べなくなり、水槽の底でじっとして、よほどの病気をしない限り静かに最期を迎える。
両親がドン引きするほど泣き、ペットショップの人にまで励まされた覚えがある。
親が大病をして自分も体を壊して、家にいる頃からハムスターと暮らしだした。
最初からやんちゃな女の子で、噛まれた。
基本、噛むのは人間側に恐怖心がまだありすぐに手を近くに向けたため、怖い反射で噛むので人間が悪い。
「怖かったね、ごめんね」とハムスターに言いながら指を消毒する私を両親は、冷たい目で見てくる。
人目を気にしやすい私だが、動物に関しては微塵も人目を気にしない。
最初のやんちゃな女の子から、フェレットも女の子だったが、今暮らしているハムスターも女の子だ。
最初は、みんな怯えてくるが2週間私のご寵愛を受けると家での天下は、その子がトップ。
ハムスターと言っても、一匹ずつまったく性格が違う。人間の生活に合わせて昼に少し起きて遊びたがる子、食欲の細い子、よく食べる子、マイペースな子、人がいないと不安そうな子、本当に十ハムスター十色だ。
今、暮らしている子は慎重な子で
来た時は怯えていたので最低1ヶ月は、お世話だけで静かに暮らした。
しかし、今では生粋の夜行性のその子は、夜11時には目をキラキラさせて、部屋から出せ出せとせがみ、部屋んぽ(ハムスターのお部屋のお散歩)をしてからではないと、部屋に頑として戻らないので、どんなに眠たかろうが、疲れていようが15分くらいのお散歩はする。
親の通院などで、疲れきった日もハムスターには関係ない。
出せ出せとアピールする小さな姫様に執事はよろつきながら、今日もお散歩のお供をする。
私は今日も動物愛護すぎてる。
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