第345話 ニホンゴ、ワカリマセーン

豊肥本線、宮地駅。12時30分。




特急「あそ3号」別府ゆきが到着する。




赤いディーゼルカー。窓のところは黒く、上下は


ステンレスの地。




ところどころ、ディーゼルの煙で黒くなっている。






しゃー・・・・と、金属音がして。


排気ブレーキは動作中。




車輪の横のディスク・ブレーキが


ぴかぴかに光っている。






きー・・・きききき・・・・と。ディスク・パッドが触れ。


金物っぽい響きがする。








停止位置、よし!。






中ほど、2号車はグリーン車。専務車掌が車掌室ドア窓から顔を出し、停止位置を確認。








4号車、最後尾から乗ろうと、友里絵たちは待っている。






4号車の乗務員室には、大柄なアメリカ人の女の子。


さっき、さかまゆちゃんが着ていたメイド服(^^;風の制服で。


黒い、ふわふわのスカート。




ともちゃんが両手を振る「パティー!」と、にこにこ。




ブロンド、白い肌。ちょっとそばかす。青い瞳のふんわり、大柄な女の子は




ともちゃんに気づき。




乗務員室の窓を開けて「ともちゃーん、さかまゆちゃーん」




にこにこ、元気、明るい。






友里絵は「あたし、エイゴわかるようになったみたい」




由香「ニホンゴだって」






愛紗は、くすくす。








ドアが開く。




ぷしゅー・・・と、空気が抜ける音がして。




バタリ。






バスみたいな折り戸が開いた。






パティは「こんにちはーー!」にこにこ。大きな声。




背丈は愛紗より大きい。さかまゆちゃんよりも。






さかまゆちゃんは「こんにちは。なにー。こっちの乗務なの?」






パティは「うん。」と、元気にこっくり。「熊本行って帰り!」






ともちゃんは「あのネ。彼女たちはまゆまゆのお友達なの。


神奈川から来たバスガイドさん。」




パティは「こんにちは。わたしは日高・パトリシア・かずみ、と言います。


ハイ。日本人です。アメリカ、イッタコトアリマセーン」




と、カタコトっぽい日本語をわざと(^^)。






デッキに乗り込む。








5分停車なので、その間にすこしおしゃべり。






友里絵は「あたしが友里絵。こっちが由香。


どっしりしてるのが菜由。上品なのが愛紗。」と、ご挨拶。




パティは「ヨロシクオネガイシマース」と、まだ演技。




ともちゃんは「それはもういいって」






パティは、ハハハ、と笑って「読みにくいもんね」






友里絵「でも、なんとなくカタコトの方がかわいいかも。」




由香「マンガだと大抵そうだよね。アメリカからの転校生とか」






パティ「そうそう!学園祭の劇だと大抵そういう役」






パティの胸元には




大分車掌区


  日高




と、ふつうの名札。






みんな、にこにこ、明るい。








ともちゃんは「ホントに、Patty&Jimmyみたいでしょ?」




髪も、そういえばお下げ。かわいい。








友里絵「モテモテだね」






パティは「んー、女子高だったから。モテマセーン」






ともちゃん「英語がダメなんだよね」






菜由「じゃー、お客さんが間違えるでしょ。」と、にこにこ。








パティ「ソウデース、コレデゴマカシマース」と、笑う。






みんなも、ハハハ、と笑う。






そのうちに・・・大分側から登ってきた普通列車が停まる。




一両のディーゼル・カー。


ステンレスの銀色に、青いライン。






しゅー・・・・きききき・・・・。






ドアがばたり、と開く。




バスそっくり。






パティは「あ、信号変わるよ。そろそろ走るね」






と、出発信号機が青に変わるのを確認。指差して。




メイドさん服ですると、なんかヘン(^^)。






友里絵は「パティも車掌さんなの?」




パティはかぶりを振る。


大柄なので、なんか、ちいさな子みたいでかわいい。


ブロンドの髪が、ふわふわ。


青い、大きな瞳。






「わたしは、CAなの。車掌さんになるのは試験を受けてから」






ともちゃんが説明「パティは、管理局採用なの。CAで入って、後で試験受ければ


車掌補って、私達と同じ職名になるけど。今はまだ見習いと言うか・・。


だって18歳だもん、まだ」






由香は「いいなー18歳」




パティは、へへ、と。赤い舌をちょっと出してウィンク。にこにこ。






友里絵「なんたって18歳!」






菜由「おーなつかしTV」






愛紗は「そのシリーズは一杯あったね」






そのうちに車掌さんの笛が鳴って。






折り戸がバタリ、と閉じて。






フロアに黄色いラインが引いてあって。






さかまゆちゃんは「そこに入ると、挟まれますから気をつけてください」








愛紗は「バスと同じだ」と。思わず。








そして、パティの「管理局採用・CA」と言う職なら・・・入れるかな、


なんて思って。




「伯母さんが言ってたのは、それかなぁ」













その頃・・・熊本についた急行、球磨川2号。






恵は、まだ寝ている(^^)。






裕子は、起こしに来る。






「あー、まだ寝てる」






・・・・まあいいか、折り返して湯前まで行け!とばかりに(笑)






ひっひっひ・・・。


イタズラ好きの裕子だった。








そーっと、そーっと・・・・。抜き足、差し足・・・で、逃げようとした裕子を




後ろから 「わっ!」




恵が。




裕子は「きゃっ!」と、驚く。




恵は、歯をむき出して笑う「さっきのおかえしー」(^^)。






裕子は「このー、こらまて!めぐ!」






足は速い恵であった。(^^)。






とっとこ、とっとこ・・・。




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