第338話 いっしょだね

その頃のまゆまゆ(^^)は・・・。


吉松折り返しの観光・快速列車・・・で。

CAさんをしていた。


ここで、会ったんだっけね。と、思い出しながら。

雨は止んで、雲間のひざし、きらきら。



制服の上着を貸してあげて、記念写真を撮って。


「友里絵さん、かわいい」と。思い出していた。


・・・いまごろは、阿蘇山あたりかな・・・・。なんて、思いながら。


快速「いさぶろう・しんぺい」は、ゆっくりゆっくり登って行く。



結構な坂道、自然の中。

綺麗な景色の中を、のどかに・・・。



行路で言うと、この後人吉について、お昼。

それから、熊本行きの特急乗務で終わり。


今日はB勤務だから、少し終わりが遅い。

熊本ー>人吉の帰りも、回送だが勤務時間になっている。



「熊本でお兄ちゃんに、会えるかな・・・。」なんて思いながら。


用はないけど、なんとなく・・・・。


・・・・いつまでも、わたしのお兄ちゃんでいてほしい・・・・。


けど・・・そうはできないことも判っている。


だから・・・。



・・・・どうしたらいいんだろ・・・・。



なんて、思う、19歳のまゆまゆ(^^)だった。







恵は、やっとの事で熊本行きの列車、急行「球磨川」に乗って

帰るところだった。



「やれやれ・・・・・酒なんて飲むもんじゃないわ、ホント。」



わかっちゃいるけど、やめられない♪(^^)


「列車で飲むと、気持いいのよね」。





・・・に、しても。


「日光さんのお母さんは、本気なのかしら?」いまいち疑問。


とか、思いながら、球磨川の緑の川面をながめつつ。


かたこん、かたこん・・・・。

下りのディーゼル・カーは静かだ・・・・。


長閑な休日である。


「・・・ウィスキー、どこいったかな(^^;;;;」




そう・・・思いながら。

こっくりこっくり。


寝ていた(^^)。



ふるーいディーゼルカーは、堅牢。

重々しい。けれど、そこが安心感。


クリーム色のボディに、窓のところだけ赤い。







お兄ちゃんは、福岡で、まだ寝ていて。



「あー、そろそろ行くかな」なんて思う頃

タイマーが効いて、ベッドが起き上がってきた。


静かな休憩室。ゆっくり寝られる。


「朝4時起きだとね」と、不規則な生活を省みる。でも

その、使命感が。


やらなくてはならない。そういう感じに嘘は無かった。



ひとつ、伸びをして。目覚めた。


「さあ、行くか!」



ブルー・トレイン回送が、待っている。


EF81-137も、待機線で休憩しているのだろう。



制服、と言っても貨物はワークシャツのようなもので

至って簡素。


そこも、気に入っている。



それに袖を通し。


とりあえず、顔を洗って・・・。と。廊下に出た。








阿蘇駅の友里絵たちは、改札を通って

また、待機しているSLあそBOYに戻ってきた。


やっぱり、先頭の機関車が気になって。「あ、人吉で見た機関車と同じ!」と、友里絵。



「ほんとだ」と、由香。



くろーいボディ。塗装されているかと思うけど、なんとなく煤で黒いのかな、なんて。



愛紗は「写真、撮ってあげる」と。


機関車を背景に、由香、友里絵、菜由。



ちいさなカメラで、撮った。



菜由が「じゃ、代わる」と。


愛紗が機関車の前に立つ。



菜由は少し、下がる。「やっぱり背丈があると、スリムに見えるね」


愛紗「そう?」割と、ふくよかなタイプだけど。


友里絵は「いいなー。細く見えて」



由香「アンタも結構、着やせするね」



友里絵「そかな」


由香「だって、脱ぐと、てろーん」



菜由「ハハハ」



友里絵「あー傷つくなあ」


菜由「めんごめんご」


と、笑いながら・・・ビュフェのある2号車へ。



ともちゃんと、さかまゆちゃん。


ウェイトレス、スタイル。



ちょっとメイドさんふうが、かわいい(^^)。



友里絵は「ねー、さかまゆちゃん?」


さかまゆちゃんは「なんですか?」



友里絵「これから、どこ行くの?」


さかまゆちゃん「列車は、これから宮地までですね」




由香は「帰りも乗務するの?」



さかまゆちゃん「いいえ、きょうは木曜なので。帰りは回送です。」



菜由「じゃあ、回送で帰りなの?」



ともちゃん「いえ、特急に添乗して大分まで。そこで終わりです。明日は由布院から

「ゆふいんの森」乗務です。」



友里絵「あ!あたしらKKR由布院に泊まるんだけど、一緒にどう?」




さかまゆちゃん「偶然です!そこが今夜のお宿」と、にこにこ。



由香「ユニークぅ」


友里絵「ホントだね」



そんな事を言いながら・・・列車は走り出した。


蒸気機関車って、ふんわり走り出す。


ちょっと、ゆりかごみたいね、と

愛紗は思った。



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