第329話 経絡秘孔

人吉山中(?)で、死んだマネの恵・・・。



がさがさがさ・・・・。


恵は、緊張する。


・・・いよいよ、この世の終わりだ・・・。

せめて・・・誰かに愛されてから死にたかった・・・・。



(この場合の「愛されて」は、「H」ではない。(^^)




カレシ居ない歴21年の恵である。




がさがさがさ・・・・。が、近くなる。



なんか、温かいものが・・・・・近くに来た。




恵のほっぺたを、ぺロリ。




「ひっ!」恵は飛び起きた。

死んだマネしないといけないのに・・・。



と、思ってみてみると。



かわいいラブラちゃんだった。「なんだ、良かった。・・・キミはどこから来たの?」

と、恵は笑顔になる。




ラブラちゃんは、お座り。舌だして。 息。  へっへっへ・・・・。



恵が立ち上がると、歩き出した。



「あ、道を教えてくれるの?ありがとー」と、恵は


ラブラちゃんに連れられて、崖の脇を下り始めた。




気がついてみると、そこは、駅の裏手にある古墳の上、だった。



「あ、よかった・・・・。」と、恵はその場に座り込んだ。


ラブラちゃんは、振り返って。

恵の隣に座って。

舌だして。  息、へっへっへ・・・・・。




「心配してくれるの?ありがと、ラブラちゃん」


なでなで・・・。



ラブラちゃん、道がわかったでしょ?と言う顔で


また、とっとことっとこ。

崖の脇を上り始めた。




「あ、ありがとー、ラブラちゃん」と、恵。




あぅ! と、ラブラちゃん、お返事。




風、さわやか・・・・。







真由美ちゃんは、今日の仕事が暇なので(^^;


いろいろ、思う。




お兄ちゃん+恵さん


のこと。


そんな事を思っていると、乗客案内アナウンスを間違えそうになる。


ホームが右側、左側。

乗り継ぎの紹介。

などなど。




吉松に着く。折り返し休憩。




「やっぱり、気になるな」と・・・。

お兄ちゃんは見ないだろうけど、と、思いながら

携帯にメールを打った。


仕事中は見れないのだけど・・・。


聞くことはひとつ。


「お兄ちゃんの縁談を、お母さんとお父さんがかんがえてます。

恵さんはどうか、と・・・。

お兄ちゃんに好きな人いますか?」



そんな感じ。



その文面を見て・・・「わたし、なにしてるんだろ」


ただの妹なのに。


お兄ちゃんに、綺麗なお嫁さんが来るなら。

いい事じゃない。



何、聞いてるんだろう・・・・。と、思って。そのメールを消した。



で・・・・友里絵に。たとえ話、として・・メールを打った。








友里絵の携帯が、ジャーン!!



由香「煩いなぁそれ、車内はサイレント」


友里絵「ごめんごめん。忘れてた」



かたこん・・・かたこん・・・。高森線下りは

見晴台を過ぎて。


ゴールデンちゃんも、たまも降りなかったので(^^)。

乗降なし。



そろそろ、白水高原。



運転手さんが「ガードのところに、線路の真下に大きな泉がある」と・・・。



ゆっくり走ってくれた。




青い水と、ふつうの水。


泉がふたつ・・・。




「あれ、なんだろね」と、友里絵。



由香「メール、誰?」



友里絵「あ、そっか・・・・えーと、真由美ちゃん。

喩え話だけど、お兄ちゃんがお嫁さん貰ったら、友里絵さんは悲しいですか?」



由香「うーん、それ、真由美ちゃんの話しじゃない?」




菜由「たぶんね」



愛紗「そっか。真由美ちゃんお兄ちゃん好きだもんね」



♪おてもやーん♪ のオルゴール。



録音のアナウンス。



ーまもなく、白水高原、白水高原ですー。








列車は、白水高原駅に着く。

結構大きな駅だ。



木造の、カテドラルみたいな駅舎が白く、綺麗。



たまと、ゴールデンちゃんは・・開いたドアから降りた。





友里絵は「降りて、どこいくんだろ」



運転手さんは「ああ、どっかの家でご飯でも食べてくるんだろ」



由香「ハハハ。いいなぁ。」



菜由「あたしもそうなりたい」



愛紗「石川さんがいるよ」



菜由「ま、そうだけど。旅しながらさ、いろんな人に可愛がられて」



友里絵「遅かったのかいー♪」



由香「ハハハ。」



友里絵「おーそかーったーぁ♪。バカヤロー」



菜由「何が遅いんだか」



友里絵「アレ」


菜由「その手に乗るか」



由香「オマエはもう死んでいる」



友里絵「経絡秘孔を突いてー」



由香「やーめっろって、人がいるとこで」



おばあちゃんたち、笑っている。「おんもしろい子だねぇ」



由香は「あ、気にしないでくださいねー。ちょっとヘンなの」



運転手さんも、にこにこ。「漫才かい」

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