第267話 涙

愛紗は、ごはんをちょこっと

お箸でつまんで。

もぐもぐ。


真由美ちゃんは、お茶碗を左手できれいに持って。

お箸で、ちょこっとごはんをすくって。


もぐもぐ。


友里絵は・・・さっきの通り。

ごはんにコロッケをのっけて。

おしょうゆをちょっと。

コロッケ丼にして。


さっさか。


由香「よく食うなぁ。燃費悪いなぁ。車だったらアメ車だ」


友里絵「いいじゃん。食いだめ、寝だめ」



愛紗「そう。ドライバーは特にそうだね。時間長いし」


真由美ちゃん「そんなに長いですか?」



愛紗はこっくり。

「A+中勤か、B+・・だもん」


真由美ちゃん「それは・・・大変ですね。運転職では」



鉄道の運転職は2時間で一旦休憩である。

(尤も、バスも法規制でそうなったが、路線では

折り返しが「休息」と看做されているので

実際には連続勤務と同じである)。


菜由は「だから、逃げてきた」



友里絵「ははは」



由香「はははじゃないって。旅行終わったらまた同じ」



友里絵「ここはどこ?わたしはダリ?」


由香「記憶喪失か」


菜由「いたなぁ、そんな人」


由香「美人だったら映画になるけど」

と、ごはんを食べ終えて。




剥いてもらった夏みかんを、ちょいとつまんで。


「甘いねー。これ」



真由美ちゃんは「甘夏じゃないですか?これ。酸っぱいのもありますね。」


愛紗は「どこで見分けるの?」



真由美ちゃんは「皮の色とか。房のかたち」



菜由「へー。いろいろあるね。」



真由美ちゃん、にっこり「いなかの子」と。


友里絵は「まー、あたしらも東京から見れば田舎の子なんだろーけど」

由香「田舎の子、流行りなんじゃない?最近」


愛紗「あ、そうかも。エビちゃんだって宮崎だし」

菜由「ぱふゅーむも広島だ」


友里絵「ローカルアイドルね」


真由美ちゃんは「鉄道記念館のCAも、職員なんですけど・・・あの方々も同じ制服なの


で、けっこうアイドルになってますね」



菜由は「あれ、タレントさんじゃないんだ」


真由美ちゃんは「そうらしいです。あちらの方面で、希望者がやってたり、交替だったり」


友里絵は「きれいな人多いもんね、九州。作ればいいのに。JNR48」


愛紗「48って」(^^;



由香は「真由美ちゃんセンター」


真由美ちゃんは「いえいえ、わたしは出ません」


友里絵は「東山でも作れるねえ」


由香は、掌を振って「ダメダメ。ばばーばっかじゃん。BBA88だよ」



愛紗「88?」


菜由「喜寿か」


真由美ちゃんも笑う「88・・・・。」


友里絵「66くらいかな」と、♪ √、66♪・・・なーんて(^^;



菜由「それも懐かしいね」



由香「そんなのやってた?」



菜由「うん、日曜のお昼とか」



真由美ちゃん「あ、ありましたね。バイオニックジェミーとか」


友里絵「あったあった。塀から飛び降りて足くじいたり」



由香「そりゃ友里絵だ」



友里絵「よく覚えてるな」


みんな、はっはは、と笑う。


友里絵「でもあれは、仮面ライダーだって」



真由美ちゃん「男の子みたいですね」


食べたお皿を、お盆に乗せて。片付けながら。



友里絵は「あ、わたしもやるー。」


由香も。「よしよし。いい子いい子」


菜由「主婦におまかせ」


愛紗「ユースみたいね」


真由美ちゃんは「皆さんはいいんです。わたしは職員なので・・・・。」




愛紗「そうなの?」



真由美ちゃん「・・・・・なんとなく。」




友里絵「なーんだ。優しいねぇ。真由美ちゃん。いい子いい子」




愛紗「職員って、なんかいいね」


真由美ちゃん「そうですか?」



友里絵「あたしは、そうでもないけど」


由香「呼ばれてたからなぁ、職員室」



菜由「なはは。経験ね」


真由美ちゃん「なんとなく、行き難いですね」


それでも、みんなでお膳を持って。お片づけ。



真由美ちゃんは「ごちそうさまでしたー。」



おばあちゃんは「はい。きれいに食べたねー。」



友里絵も「ごちそうさまでしたー。」



おばあちゃん「ありがとね。人吉に来てくれて。」



友里絵は「いいとこですね。ここ。のーんびりできて。」



おばあちゃん、にこにこ「いつ帰るの?」


由香は「明日です」


真由美ちゃんは、その言葉を聞くとちょっと淋しそう。



菜由は、その様子を見ていて・・・「楽しかった、一緒で」


真由美ちゃんは、なぜか、涙ぐんで。うつむいて。



菜由は「よしよし。」と、抱き寄せてなでなで。


愛紗も、真由美ちゃんの肩をなでなで。



おばあちゃんは「・・・あらあら・・・うれしかったのね。お友達がいっぺんに増えて。

きょうは、お泊まりしてけば?」



真由美ちゃんは、菜由に抱かれたまま、こくり。



友里絵は「ひひひ・・・乙女の・・・。」と、そこまで言って

由香に後ろ頭をはたかれて。


「場合を考えろ」(^^;


友里絵「めんごめんご。じょーだんだってばさ」


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る