第256話 モンブラン

真由美ちゃんは「ちょっと、ごめんください」と、言って

駅の通用口から。


とことこ・・・と、戻ってきて。


愛紗「お仕事?」


真由美ちゃんは「はい。つぎの出勤時間の確認です」





通常は、24H+8Hが休日として充てられるので

まるまる24H+8Hが寝る時間になっている。


バスの場合は、この規制が出来るまでは

24H無いこともしばし、だった。





友里絵「真面目だなぁ」


由香「あたしは、イヤんなっちゃったけど」


菜由「なんで?」



由香「休みの日にさ、次の日の朝早起きする事なんて、考えたくないじゃん」



真由美ちゃんは「はい。一応、前の退勤までにわかっているのですけど

一応、間違えないように」



愛紗「わかるなー。一度、間違えると、ちょっと自責の念で」




友里絵「2度、あると3度ある」


由香「それはキミだけだ」



ははは、と、友里絵。みんなも笑う。



友里絵は「でもー、バスは遅刻なし」


由香「そーなんだよね。不思議」


友里絵「コンビニはー、だって。遅刻しても乗れないって事ないし」



由香「なーるほど。逃げないもんね」



ははは、と、みんな笑う。



駅前のからくり時計が、しゅー、と、蒸気を吹いている。



「時計の針が12に来ると、お人形さんが踊るんです」と、真由美ちゃん。



「じゃ、3時になると見れるね」と、友里絵。



あと30分くらいある。




「ケーキでも食べよ」と、菜由。



「ケーキ、好きです」と、真由美ちゃん、にこにこ。



愛紗は「どんなの好き?」


真由美ちゃんは「えーと、モンブランとか、イチゴのとか。ミルフィーユ」



友里絵は「イチゴの、いいねー。」


由香「食いもんならなんでもいいねー。」



友里絵「うるさい」(^^)。



にこにこ。みんな楽しい。



からくり時計の前の路地から、少し入ったところに

ケーキのお店があって。

喫茶店にもなっていて。


そこで、お茶する事に。



「真由美ちゃんは可愛いから、よくお客さんに誘われるでしょ」と、菜由。


真由美ちゃんは、いえいえ、そんな・・・と言いながら「規則で禁止されています」



友里絵は「偉いなぁ、国鉄」


由香「なんで?」




友里絵「だってさ、それ目的でお客増えるじゃん」



由香「そーんな、あんた。なんとか34じゃないし」


と言うと、みんな笑う。



ケーキをめいめいに、いろいろ取って。

好きな飲み物は、ドリンクバー。



こういうスタイルは、割と気軽でいい。



「誘われたとしても、行く時間ないですし」と、真由美ちゃん。


「お休みあわないもんね」と、愛紗。



真由美ちゃん、こっくり。



友里絵は「でーもさーぁ、すっごいステキな人が誘ったら

休み取って行っちゃうでしょ?」



真由美ちゃんは「いえ、そういう経験ないです」



由香「あってもいかないよね」



真由美ちゃんは「そうかもしれないです・・でも、ホーントに映画みたいな出会いだったら

解らないけど」と、にこにこ。


生クリームを、ちょっと、スプーンですくって。ちょい。


「モンブランは、この栗が・・・いいんです。この辺りでも採れますから。

おばあちゃんが煮てくれたっけ。」と、真由美ちゃん。




お店の中にはFM放送が掛かっていて。

クラシックの時間。


静かな曲のあと、静かなアナウンサーの声で

シューベルト作曲・・・ドイチュ番号231・・・とか聞こえる。



友里絵はにこにこ「ドイチュって可愛いね」


由香は「ドイチュでちゅー。」


真由美ちゃんもにこにこ「赤ちゃんに話すと、なりますね。こんにちはでしゅー」



愛紗もにこにこ「かわいいものね」



菜由「赤ちゃんがにこにこしてくれると、ほんと。しあわせね」



友里絵も「赤ちゃんほしいー。」


由香「買ってきな」



友里絵「売ってないもん」



由香「イヌでいいか?」



友里絵「あたし猫派なのっ」




真由美ちゃん「子猫なら、よく近所で貰ってきましたけど。

かあいいこねこ、あげます なんて、貼り紙してあって。


学校の帰りに、貰ってきて。


お家に連れてって、ミルクあげたり。」



友里絵は「うんうん、かわいいよねー。」にこにこ。


真由美ちゃんもにこにこ。「はい。とっても。あったかいし」




菜由「夏は、どっか涼しいとこで伸びてて」


愛紗「そうそう。お風呂場のタイルとかで、でろーんとしてて」



友里絵「バテてると、呼んでも答えなくて」



真由美ちゃん「力なく、にゃ~~・・・。くらいで。夏はかわいそうでした。」




おしゃべりしているうちに、3時は過ぎてて。

友里絵が「あ!」と、壁の時計を見て。



由香「はーい、友里絵くん減棒!」



真由美ちゃん「減棒なんですか?」



友里絵「うそうそ」



真由美ちゃん「そうですよね」(^^;


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る