第221話 ひょうたん島
同じ頃。宴会をお開きにした局長は、
区長と、廊下を歩きながら。
「はて・・・・あの子。どこかで見たような・・・・。」
区長は「愛紗ちゃんですか?」
局長は、思案顔。
「洒落た名前だなって、そう思った事があるんだ。かなり前」
区長「かなり前なら、まだ幼い子だったんでしょうね。」
局長「そうかな・・・人違いかな、それじゃ」
区長「そうかもしれませんね」と、にこにこ。
局長「ボケたかな」
区長「ははは」
静かな廊下を、スリッパ、すたすた。
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愛紗は、複雑である。
親切にされたのだけど。
なーんとなく。素直に厚意に甘えられないような。
・・・・わたしって。可愛くない・・・・。
そう思う。
上手く、仕切られているような気がして。
それは妄想なのだろう、と自身、気づいているのだけれども。
家の両親のことを連想したりするのだ。無意識に。
のんびり、リビングのTVを見ながら
お茶を飲んでいたりしても
そんなことを思ったり。
自分の進路を、決められない。
何が好き、って言えない。
それも、なんとなく・・・・怖れがある。
いつも、母が細かい事まで干渉するから
それで、いつも・・・逃げる事ばかりを考えていた。
幼い頃からそうだったので、好き嫌いも言えなかった。
それで、ずっと来た。
本当は、おとなしくしているのも嫌いだったのかもしれない。
それで、テニス部に入ったりもしたのだった。
菜由が「愛紗、よかったね。ほんと」
と、言われて。「うん。」と、返事するんだけれど
何が良かったのか、よく解らないけど
そう答えれば、まるくおさまる。
そんな感じで、ずっと生きてきたような・・・気がする。
「バスと鉄道、どっちが好き?」と、菜由が言う。けど
「解らない」と、答える。
それが本音だった。本当にわからない。
ただ、バスを運転すると、大きな車体を制御する面白さのような
ものは実感として判る。
そのくらい。
バス・ドライバーを志願したのも
本当は、「健気ないい子」で居なくてはならないと
思い込まされていた、だけかもしれない。
友里絵と由香を見ていると、そう思うのだった。
・・・・あんなふうに、思いのままに居られたらいいな・・・。
その「思い」が、そもそも感じられないのだった。
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お風呂場の友里絵は
ぬーどで。
「全裸新体操ー。」なんて、開脚。
「バカ」と、由香は笑って。「週刊ポストかよ」
「良く知ってるね」と、友里絵。
「だって、置いてくじゃん、バスのお客」と、由香。
友里絵は、プラスチックの桶にお湯をいれて「あ!ケロリンって書いてあるー。」
由香「なつかしいね。」
友里絵「ケロリン♪ケロリン♪ケロケロリン♪」と、ヘンな歌(^^)。
歌いながら、お湯をかぶった。
温泉に入って。うつぶせ。お尻だけだして「ひょっこりひょうたん島」
由香「ストリップでもやるか、売れなくなったら」
友里絵は仰向けになって「わかめ島ー♪」
由香「上が筒抜けなんだってば、アホ」と。(^^)。
友里絵は「だいじょぶだいじょぶ。めーないから。」
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