第165話 B20-10

「でんわ、掛けてみる。」と、友里絵は

バッグのポケットを探った。


ない。



「あれ?あれ?」


バッグのファスナーを開いて、中を探ってみた。


ない。



「どうしたんだよ、落としたのか?」と、由香。




「わかんない。」と、焦る友里絵。



「あ、いたいたー。友里絵ちゃーん、由香ちゃーん。」と、菜由。


愛紗も一緒。なんだか、スルメみたいな干物を持っている(笑)



「どしたの?」と、菜由。



「友里絵がさ、携帯を無くしたみたい」と、由香。



「掛けてみれば?」と、愛紗。




「あ、そうか!」と、由香は友里絵の携帯に掛けてみる。




派手な着信メロディが、バッグの中から (^^)。




「あ、あるのかー。じゃ、いいや。行こう!」と、友里絵。



「行こう、じゃないよ、バカ。」と、由香は笑顔で、友里絵の額をつっついた。





「でもよかった。あって」と、愛紗。


「ほんと」と、菜由。



「乗務の時はこんなことないのにー。」と、友里絵。




「まあ、仕事じゃないし。」と、由香。



4人は、駅への階段を上がり、ぺデスタル・デッキへ。



「特急で行く?」と、菜由。



列車案内を見上げて「しばらく無いわ」と、愛紗。



「次は、快速かな」と、由香。



16:00。


「もう、来てるかな。」と、友里絵は、ホームの方を見た。



結構、人が居るので・・・・・「座れるかなぁ、並ぼうか」と、友里絵。




「直ぐに空くと思うよ、座れなくても。それに、快速は編成が長いから

たぶん、座れると思う。」と、菜由は地元らしい観察。




「でも、行ってみよ!。」と、友里絵は

とっとことっとこ。



自動改札に周遊券を通し、指宿・枕崎線のホームへ向かう。




と・・・・。



線路の向こう側にある、小さな機関車が友里絵の目に留まる。



「かわいーね。」



短い煙突、車輪は4つだけ。

黒いボイラーは短く。

水タンクはボイラーの横、石炭は後ろ。



「ずっと、ここで走ってたのかなー。」と、友里絵。



「SLかぁ。乗ったことないな。」と、由香。




「まだ、走ってるところあるね」と、愛紗。



「ほんと?」と、友里絵。




「ああ、なんだっけ。阿蘇のほう。」と、菜由。




「帰りに行くね、阿蘇は。」と、愛紗。




「乗りたーい。」と、友里絵。



愛紗もにこにこ。「ダイア調べてみる」




黄色い快速列車が、ホームにゆっくりと進入してきた。



細いレールを踏みしめるように、がったん、がったん。

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