第6話 監視するほど私を見つめて!

 茂樹君、今日から学校復帰だね!

 3組、シーンと鎮まり返っているねぇ~


 紫穂、あんたまで小声で言かなぁ、隣のクラスじゃん。


 でも、なんか、怖くない。


 なんで怖いの?


 えっ、美咲、怖くないんだ?

 ヤクザと喧嘩した生徒が来るんだよ~、金八先生の「加藤」みたいじゃん!


 (…やっぱり言うか、「腐ったみかんの方程式」を…)


 紫穂はテレビに影響されやすいの!

 あれは、テレビドラマですよ!


 分かってるけど、なんか、起こりそうで…


(…お前が何か起こるの期待してるんだろ!…)


 あっ、来たみたい、茂樹君!

 ほら、3組、音ひとつしなくなったよ。おぉ、こわこわ。


 (…よかった、無事、来れたね、茂樹君!…)


~~~~~~~~~~~~~~~

【昼休み】


 藤田、考え直してくれよ、お前、俺の事、好きなんだろ~?

 相思相愛じゃん!


(…流石、デビルマン、しつこいわ…)


 学食まで付いてくるのやめてくれない!

 ここ、女子のテーブルだよ、吉川君が居ると、変な誤解されるじゃん!


 誤解されったて、構わないさ!

 逆にそう思われたくないかい?


(…本当に気色悪いわ、デビルマン…、1週間でもコイツと付き合おとした私はアホだったわ…)


 もぉ、吉川君がどかないなら、私、他の所に行くよ!


 他の所って、もう空いてないぜ。

 あっ、あの「ボスザル」テーブルは空いてるけど、美咲、行くなら行ってみろよ。また、ボスに睨まれるぜ!


 (…茂樹君、側に行きたいけど、ダメだよね、約束だもんね…)


 仕方ない、そのかわり、少し離れてね!


 了解、引っ付けということだよね、よし、椅子、寄せよっと!


 やめてよ!吉川君!


 「グァッシャン~~!」


 堀内、どうした、コップ投げて!


 水をくれ!


 OK、言ってくれれば、注ぐよ。


 吉川君、堀内君、ご機嫌斜め見たいよ、離れた方が良くないかな。


 そうする。堀内、イチャイチャするの見るのも嫌いって噂だからな。

 ヤベ!こっち、睨んでる!


 だから、言ったじゃん、早く離れてよ!


 わかった、わかった


~~~~~~~~~~~~~~~

【放課後】

 

 あれ!美咲~、また、隣、あれ、吉川君のチャリじゃない?


 あっ、ホント、しつこいわ、デビルマン!


 よかった、悪魔とお付き合いしなくて!


 紫穂、それは二度と言わない約束でしょ!私の人生の汚点…


ごめん、ごめん、あっ、来たよ、来たよ、美咲ぃ~、デビルマン!


 (…来たかデビルマン!…)


 でも、あれぇ?戻って行ったよ、デビルマン!


 ホントだ!私の神通力、すごくない!


 あっ、美咲!ほら、あそこ、階段座ってるの茂樹君じゃない!

 煙草吸ってるよ~


(…茂樹君、お疲れ様…)


 美咲、帰るべ、帰るべ


 うん、何、これ?


 あぁ~、カセットテープだ!


 誰だろ?


 ナルシスト『デビルマン』の愛の告白じゃないの、美咲ちゃん!


 今度、それ言ったら殺す!


 ごめんなさい、お許しを!


~~~~~~~~~~~~~~~

 (…なんだろ、この洋曲?、私、聖子チャンしか聞かないから、分かんな~い~…)


 お姉ちゃん、ちょっとゴメン、この曲知ってる。


 うん!ポリスの≪Every Breath You Take ≫じゃん、

 今、ビルボードチャート1位の曲じゃん!


 お姉ちゃん、英文学科でしょ、サビだけで良いから訳して来んないかなぁ~、お願いします。


 あのね、私、明日、後期の試験なんだけど!

 サビだけだよー


 サンキュー、シスター!


 美咲、サビだけ訳したよ!

 まあ、いい曲だから、聴いてみな。


 お姉ちゃん、ありがとう。

……………………………………………

『♬ Oh can't you see

 (分からないかい)


  You belong to me

 (君は僕のものなんだ)


  How my poor heart aches(僕の哀れな心はどれだけ痛もう)


  With every step you take

(君が歩みを進めるたびに)



 ♬Every breath you take♬

(君のどんな息づかいも)


 ♬Every move you make♬

(君のどんな動作も)


 ♬Every bond you break♬

(君が壊すどんな絆も)


 ♬Every step you take♬

(君のどんな足取りも)


 ♬I'll be watching you♬

(僕はずっと見張っている)』


……………………………………………


(…茂樹君!わかったよ。

 茂樹君、ずっと、見ないふりして、私を見ててくれるのね…

 私をずっと見張っていてね…)

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