第32話
「お邪魔しまーす」
「ただいまー」
「いらっしゃーい」
向こう側から神崎さんのお母さんらしき人の声が聞こえた。トテトテと歩く神崎さんの後ろをついて行くとリビングにでた。
「あなたが川井くんね。いつも光莉がお世話になってます」
「初めまして川井です。いつも光莉さんには仲良くしてもらってます」
なんか、いい人そうだ。おっとりしててこの人らの親とは思えない似てなさ……
などと思っていた時だった。凄まじい悪寒が襲ってきた。すぅっと細められた神崎(母)さんの目の奥から既視感のある寒気のする視線が飛んできた。しばらくじっと耐えてると、
「うん。いい男じゃない。光莉やるわねぇ」
「うん!」
え、神崎さん、誰に似てこんなになるんだろ……?
と、そこに父親らしき人が奥から現れた。
「光莉! 男を連れてきたのか!? どこのどいつだ!」
あ、この人か。にしても、随分と美形一家だな。おまけに賢いと来たか。おれ、帰ろうかな?
「お父さん、引っ込んでて。うるさいから」
「あ、はい」
神崎さん強いな。いや、神崎(父)さんが弱いのか。神崎さんは多分こっちに似たな。なんでとか考えるまでもなく似ている。主に空気感が。
「今日はゆっくりして行ってねぇ〜」
「くっ……」
「あなたは黙っててね」
「創時くん、行こ」
「あ、うん」
俺は色んな意味で激戦の地であるリビングを横切り神崎さんの部屋らしきところに案内される。
……いっや、家ひっろいな! 金持ちってか!パッと見3LDK以上だぞ!?
「ここ、私の部屋」
「まぁ、見たらわかるわ」
部屋の扉に『光莉の部屋』って可愛い文字で書いてあったからな。
「なんで入らないの?」
「えっと……なんでもねぇよ?」
今更しり込みしてるなんて言えない。だから意を決して1歩踏み込む。やはりと言うべきか、想像通りと言うべきか分からないが内装はめっちゃ綺麗だった。
「それじゃ、やろっか!」
「そうだな」
部屋の真ん中に机と座布団が置いてあった。多分ここでやるのだろう。今日一日、俺、もつかな? 体力とか精神力とか色々。
「ん? みっちりやるよ?」
「あ、はい」
死亡確定演出でたな。
「はいこれ」
「何コレ?」
一つ一つの厚さはそうでも無い。ただ、それが八冊もある。
「出題傾向の対策問題だよ。各教科毎に作ったから少し大変だったんだよ?」
「マジすか……」
女神のスペックが高いことは知ってたけどここまでできるのか……化け物だな。
「じゃ、頑張ってこー」
「お、おー」
1ページ目を開く。長い戦いが今始まる……
〜あとがき〜
ほんっとに更新が不定期ですいません! これからも宜しくしていただけると幸いです
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