第12話 十六
十六の娘が春を語りをり乱れる縫いかけしずかにたたむ
手袋をかばんの奥にしまいこむそしたらあなた手をつなぐでしょう
ウミネコも猫じゃないんだ「あいしてる」も愛じゃないんだ辞書など捨てろ
始発にて泣きながら帰る十六の娘に母はうどんをゆでて
この胸に空いた穴を塞ぎますあなたが離した赤い糸もて
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