魔法使いの未来と過去

でも、魔法使いルーフィにとって

どこが未来なのか、過去なのか、は


ちょっと難しい(笑)。


どんな世界でも行けるし

どんな時代でも行けるから。


生物的な限界は、あるのだろうけれど


今のルーフィに、そんな雰囲気はなかったりする。



生き物なのかどうかも、ひょっとすると

わからないのだ。



例えばクリスタさんが、天使でもなくて人でもない、そんな存在だと

誰も信じないように



ルーフィは、誰が見ても人間なのだけど。





何が人間か、と言うと

それは、心である。






生物社会学、と言う

京都大学の今西錦司教授が定められたジャンルでは


人間とは、家族を持っており

食料を分配しているのが条件になっている。



つまり、形ではなくて

行動や心が、人間とそうでない生物を

分類しているのだ。



にゃごの前々生、悪魔くんになる前の彼は


母親、父親と離別してしまった為に

家族を失い、人間としての心を失ってしまって。

その淋しさが、彼を暴走させた。


生物学的に、彼を産んだ母親が居ても


食物の分配もなく、家族としての心の交流もない。



それは、母親とは呼べなかったりする。





そのせいで、彼は悪魔になってしまったが、そんな風に家族は大切なのである。






彼が、猫に生まれ変わってまで

クリスタさんと共に生きる事を望んだのも



それが、家族のような幻影を

彼に与える為だろう。




もちろん、魔法使いルーフィも

どこかに家族があったのだろうけれど。



今は青年なので、新しい家族を作る。


そんな季節だ。









「さ、じゃ、あたしのおうちへ。」と

路面電車を見送って。


石畳の軌

道敷を渡って。


安全地帯から、歩道に渡って。


路地の、坂道へと登る。




見慣れた坂道が、めぐにはとっても

有り難く思えた。



なんたって、絵本の中に旅してしまったのだから。




路地のお隣りさんや、ご近所さんも

心配してないといいけど。


はじめての外泊だもん(笑)なんて


めぐは、ちょっと、スターみたいな

気持ちで戻ってきたけど。


誰も、気にしてないみたいなので


ちょっとがっかり。



そうそう、にゃごにお礼言わなきゃ。





「あ、そうだ。クリスタさん?にゃごにお願いして下さったんですか?

あたしの捜索(笑)」





クリスタさんは、穏やかにかぶりを振って。


「いいえ・・・・。」と、だけ。



「そっか、にゃごにごちそうしないと。」



と、スキップするみたいに


めぐは、楽しげに、おうちの門を開けて。


「ただいまー。」と。



いつもと同じように、お母さんもお父さんもにこにこ。

おばあちゃんも。




だーれも心配してない事に、ちょっと残念な(笑)気もしたけど


でも、叱られるよりはいいかな。




でも、思い出を振り返っても

あんまり、叱られた記憶ってなかったりする。






いい子だったもん(笑)なんて


自分では思ってたり。




「おかえりめぐ。疲れたでしょ?

お風呂入ったら?」と、お母さん。



「うん。おばあちゃん、にゃごは?」



と、めぐは、夕べ出掛けてからそのままだった事を思い出す。



おばあちゃんは、いつも通りで


「にゃごは、ごはんじゃない?」と


ダイニングルームの角、にゃんこのご飯のところにいるのかしら、と

言った。



「にゃごー、にゃごー。」と

めぐは、とことことダイニングルームへ。



クリスタさんとルーフィも、お母さんに招かれて。



「ただいま、戻りました。」

「すみません、ごやっかいを」

と、それぞれにご挨拶。



お母さんは、とりあえずお風呂でも、と

言ったので


それじゃあまた、ニアミスしちゃうな、とルーフィが言ったので


そうですね、とクリスタさんも

みんなも楽しく笑った。


和やかだった。



にゃごは、極上鯖の缶詰を


おいしそうに食べていた。


めぐは「ただいまー、にゃご。

ありがとね。おかげさまで

帰ってこれたのー。」と言うと



ごはんを食べながら、にゃごは



ふにゃくにゃむにゃふにゃご、と

にゃんこ語で語った(笑)。



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