さむとたまぁ

さむは、絵本を入れ替えて

めぐの乗っている絵本を、袋に入れた。

でも、首から掛けたので

絵本は、ぐらぐら揺れた。


2次元の世界では、なんでもない事でも

3次元の人間界にいる、めぐには

ちょっと大変。


おまけに、ちいさくなってるから

余計大きな揺れに感じる。



立っている位置や、傾き等の状態を知るのは

専ら、人間では流体の流れに依って

それを知っている。


つまり、慣性と重力がそれを司っているので

体が小さくなると、感受性が大きい。


そういう仕組みがどうして必要だったのだろう?


樹木の上で暮らしていた人間の祖先が


必然性に沿って得たのだろう。

そんなふうに考えられている。




それはともかく(笑)


とにかく揺れるのは大変だった。



「いやぁ、助けて、ルーフィ、ルーフィさーん!」と、めぐは

ルーフィの名前を呼んだ。


そこに来ている事を、めぐは知らない。




さむは、絵本の入った袋を背負って

廊下を走った。



それでも揺れたので、めぐは耐えられなくなって。


「ここからでたーい!」と

強く思った瞬間。


魔法の封印が解けた。(笑)。



ぽん。




衝撃音は、次元が歪んだ結果。



めぐは、さむの背中に乗っていた(笑)




「あ、あれ?」


さすがに重たいので、さむも

寝転がってしまった。





「あ、ごめんね、わんこさん。」

めぐは立ち上がって。「ゆきのひとひら」を見て

状況を察した。




廊下の向こうから、あの、本の好きな子、「ゆきのひとひら」を借りた子が

びっくりしてめぐを見ている。


「あ!絵本の子!」


表紙で、わたくもにくるまって

眠ってためぐを、覚えていたのだろう。




めぐはどっきりして「ごめんね、またね」と。



「ゆきのひとひら」を

袋に抱えて。


めぐは、松林の木戸を開けて。



とっとこ、とっとこ。


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