ゆきのひとひら

スノー・フレイクの後を追って

雪の丘に飛び降りためぐは、ごきげんでした。


大好きな本の世界に入れるなんて。



先行きの不安とか、そんなものも

この時は忘れています。



丘の上の、大きな木の向こうから

ゆきうさぎさんが、ぴょこぴょこ。。


丘は、まーるくなっているので


スノー・フレイクさんに会う前、めぐに会っていたのです。


そちら側は、絵本には書いてありませんけれど。



ゆきうさぎさんにも、「こんにちは」と

めぐは、ごあいさつしました。


ゆきうさぎさんは「ごきげんよう」と

ながいおミミを、ぴょこぴょこしました。


「どちらから?」と

ゆきうさぎさんは、話し掛けてきたので

めぐは、びっくりしました。



絵本では、お話はできなかったのに・・・・。と思っていると



「そう、あなたは魔法使いさんね。

それで、コトバがわかるのね。」と


ゆきうさぎさんは、言います。



めぐは驚いて「魔法使いさんが、

絵本の中を旅するのですか?」と

尋ねました。




すると、ゆきうさぎさんは、



「はい、時々会いますね。

カードを集めてる魔法使いさんとか。魔物を追っている方とか。」




魔物、と聞いて

めぐは、ちょっとどきりとしました。



・・・・・昔の事かしら。



いえいえ、それは絵本のような

物語の中の事。


ルーフィさんが働いてくれたし

神様が粛正して下さったので


この世界は、もう魔物は居ないのです・・・・・。





「魔法使いさんは、どこから帰っていきましたか、ご存知ないですか?」


と、めぐは


ゆきうさぎさんに聞きます。



ゆきうさぎさんは、にっこりとして



「絵本のページから、いきなり

飛び出して行くの。


来る時も、あなたのように。」




と、ゆきうさぎさんは

おそらを見上げました。


遠い、遠い宇宙は

2Dなので、果てがあるのです。



めぐたちの宇宙は、3Dなので

果てはありません。

どこまで真っ直ぐ進んでいこうとしても

必ず曲がってしまって、どこかに行ってしまうのです。


その、曲がってしまったところに

4Dの、別の宇宙があったりします。



人はそれを、ホワイトホールとか

ブラックホール、なんて言ったりして。


歪みの境界は、魔法でないと

飛び越える事はできないのです。



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