天使さんのお仕事

歌声は、とても微かなもので

爽やかな風のように、空間を満たした。


「すてきね、クリスタさん」と

めぐは、笑顔でそういった。


クリスタさんは、すこしはずかしそうに

俯いてうなづいた。




「おうた、うたって?」と

こどもたちは、クリスタさんに戯れた。



クリスタさんが、天使さんだとは

どの子も知らないだろうけど

歌声の美しさは、感覚で判るのだろう。



分類すると、対数目盛りのグラフで

きれいな幾何学的図形になる

その音階と和音。


不思議なものだけれども

特別、勉強しなくても

こどもたちは、おそらく

普遍的に感覚を持っている。



それを、時間の流れに沿って並べるメロディー、時間に関係なく鳴らすとハーモニー。



ハーモニーとメロディーは、同じ音階とは限らないけれど

調和する音、そうでない音があったりする。



それも分類なのだが、根拠はやはり数学、幾何学的な集合であり


物理的に言えば、周波数、と言って

一秒に何回振動するか、で

分類した数値の事だが


それが、たとえばオクターブで

値が倍になる。



偶然ではなく、そうして

音階を作って行ったのだが



そのオクターブは最も調和的響きで


その次に、5番目の音と協和的である。



それは、分類でも美しい形だし

感覚的にも美しい響きなのだ。




神様の領域と比喩されるが

物理はそれが、自然であると

定義している。



自然だから美しく聞こえるのである。

 

その感覚は、自然界で生きてきた

長い時間の中で記憶されてきたものだ、と

進化生物学は教えてくれている。。




天使が、人間の生理に沿った

歌声を歌えるのは、少し不思議な事だけど


天使も、この3次元空間では

物理の法則に

沿っている。



そういう事なのだろう。




近年語られるゆらぎ理論、なども

自然法則を象徴しているもので



周波数が高くなるほど、ゆらぎが

小さいのは当然で


高い周波数は、小さく軽いものが

振動するからなので

大きな重い物は、ゆっくりとしか動けないので



ゆらぎも大きくなる。




それも、時間の経過に沿って

観測した結果である。


時間は、かくも支配的なので

時間旅行は、とても

魅惑的である。






子供たちは、とても楽しそう。


歌を歌うだけの事で、そんなに喜んでもらえるなら。




音楽は、心を解放する。

時間の流れに沿って、音の流れを追って行くのであるし

ふつう、快い表現をするものだから、で


たとえば、子供たちが自ら

音楽を選んで聴く事はそんなにないから


時々、音楽に親しむのはいい事なのだろう。






「いいよね」と、ルーフィは、クリスタさんの歌を聞いて、そう思った。



わたしもそう思う。



子供たちが、幼いとき


若い親は、扱いが分からないで

ちょっと、子供にとって辛い扱いをしてしまう事が

計らずともあったりする。



そんなとき、大人がヘッドホンで音楽を聴いて

解放されるような、そんな事を

幼い子はできないから


快い音楽を、時々聴いて。


その快さを記憶して、育っていけば


傷つく子も減るのかな、なんて、わたしは


元悪魔くん、いまは、にゃごになっている

彼の事を連想したりした。




もし、クリスタさんに、映写技師さんが

恋心を覚えると(笑)



ふたりはライバル、に

なっちゃうんだけど。




もちろん、クリスタさんが天使だと言う事は

誰も知らない事だし、誰も信じないだろう(笑)。


ニンゲンの姿をしていても、心は天使さん。

そういう人は、ひょっとするとクリスタさんのような天使さん

なのかもしれない。





なので、映写技師さんが想ってしまうと

永遠に実らない恋、いえいえ。転生して、天国に一緒に行けたら

実るかもしれない恋。



そういう恋もいいかもしれない。



ステキかしら。



天国に行くために、いい事を一杯して。



いい人で過ごす事。



それは、難しいかもしれないけれど

恋のためなら、できるかもしれない・・・・なんて思うわたし(笑)。






  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る