That's the way of the world

めぐは、クリスタさんと

ふたりで。


ロッカールームに向かった。


その、後ろ姿を見ていると



「ほんとに姉妹みたいだ」と

ルーフィ。



「偶然かしら」と、わたしは

何気なく。




「うーん、わかんないけど。

一緒にずーっと暮らしてたから

似てくるのもあるんじゃない」と

相変わらず、アバウトなルーフィ。



「何か、曰くがあるのかも

しれないね」とも。



曰くなんて、きいたことないけど(笑)。



まあ、こっちのめぐは

わたしとは、似てるけど

ちょっと違うんだけどね。









めぐは、ロッカールームで

クリスタさんに、新しいエプロンを

奨めた。


グロス・ブラックで

オレンジ色で「としょかん」と

胸のところに刺繍がしてある、

いつも、見慣れてるそれ。



ロッカールームは、誰もいない。

静かで、白い壁。

グレーのスチールロッカー。



どこにでもある感じ。



「そのね、紐のところをループにして、首にかけるのね」と、

めぐは、自分がいつもしているように。


胸当てから出ている細い紐を

肩に回して、交差させて

横から、ループに通して。

背中でちょうちょ結びにする。




「こう・・・ですか?」


クリスタさんは、うまく紐が回せない。




「このエプロン、初めて?」と、

めぐは聞く。



「はい」と、クリスタさん。


ちょっと恥ずかしそうだけど、

天使さんだもの。



エプロンで家事、なんて(笑)


それはしたことないだろうな。(笑)





背中クロスが大変っぽいので

首のとこで、ループにして

くぐるようにした。



そういうふうにしてる子もいる。



今は夏休みなので、結構、みんな

休暇を取っていた。




もともと、図書館でバイトする子の

ほとんどは、カレッヂに行ってて

司書資格を取って、採用試験を待ってる、


そんな子がほとんどだったから

ハイスクールのめぐよりも

夏休みが早かった。


それで、ヴァケーションに

出掛けてしまっているのだった。




図書館そのものは、正規職員だけで


仕事はほとんど間に合う。



なので、めぐたちは

ほとんどインターンシップみたいな

そんな感じだった。





「うん、ステキね、クリスタさん」と

めぐは、にこにこ。


ふんわりヘアーのクリスタさん。

さっぱりショートの、めぐ。


ふたりで、にこにこ。



「さ、いきましょ!」


「はい」



ロッカールームから、短い廊下を歩いて


さっきの、第一図書室へ。





ほんの少しの時間だったのに

返却カウンターには、列が出来ていた。



「お待たせしました、どうぞ」と

めぐは、慣れた手つきで

コンピューターの、返却スイッチを押した。



返却と書いてあるのは、ディスプレイの画面なので


そこをタッチしてもいいけど

慣れた人は、キーボードのF1キーを押していた。




それを、クリスタさんは不思議そうに見ている。



「あ、とりあえず見ててね」と、

めぐはクリスタさんに言い

テキパキと作業。


返却の雑誌を、バーコードリーダーで読み取らせる。


すると、画面に雑誌名と

借りた人の名前、返却日が表示される。



簡単なデータベース検索だが

天使さんは、コンピューターを

見たことがないらしい。




不思議そうに、大きな瞳で見ている。




返却カウンターの向こうでは

銀髪のおばあちゃんが、にこにこ。

やわらかな表情で



「かわいいのね」と、めぐと

後ろにいるクリスタさんを見比べて


「よく似てる。お人形さんみたい」と

にこにこ。



めぐも、にこにこ。「あ、いえ・・・」

恥ずかしくなって、それしか言えなかった。


リーダーで読み取った雑誌の

無線タグに返却情報を書き込む。



雑誌を、ライターにかざすと

ぽん、と音がする。



面白い機械なので、クリスタさんも珍しそうに、眺めていた。。



「どうなってるのかしら?」と

つぶやきみたいに。



「わたしも、よくわからないの」と

めぐ。









  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る