素直な気持



めぐは、思い出していた。


はじめての、恋。


きもちを、伝えたい....。


それだけで、ルーフィさんに。



でも、いわない方がよかった....。






かえって、彼を困惑させてしまったような

そんな気、もする。


でも、言ってしまいたかった。








巻き戻し再生のように、情景を思い出す。






きのう、から?、ううん、ずっと前から。

夢見てたような、そんな気がするの。


遠くから、あたしの理想の人が

空駆けて、来てくれる。


そんな夢、ずっと見てた。



それが、ルーフィさん...?




恥ずかしくって、顔、見られないよ....。




お家であってても、苦しくて....。

気持だけでも、お話して。


楽になりたかったの。




なので、図書館にルーフィさんが来た時に

おはなしできないかな、と、思って。



偶然、シアターにルーフィさんがひとりで入って。



わたし、シアターへ。






ドアを開いて。

静かに閉じて。




ルーフィさんは「トムとジェリー」を見て

楽しそうだった。


でも、わたしが来た事に気づいて。



「やあ、すこし、見てく?」

なんて、やさしく言ってくれて。



ちかくに行くだけでも、どきどきして。

恥ずかしくって。


こわれそうになっちゃう....。



言うんだ、言うんだ....。って、心の中で言葉が踊ってて。



一番後ろの席、左の角のルーフィさん。



ひとりだけ。だーれもいないシアター。



お部屋は明るいけど。




ひとことだけでいい。


そう思っても、ひざがふるえて....。


言葉にならない。




「....どうしたの、めぐちゃん....。」と、ルーフィさんは

やさしく、わたしに声を掛けてくれて。


なにかに、気づかれたみたい....。




「あ、あの...ルーフィさん?」声、ふるえてる。

でも、言わないと....!



「......す....き........。」




手紙



そんな、めぐの気持ちも

どう解決のしようも、ない。


それは、恋、って


時空を飛び越えた別次元から来た

3年後の自分がライバル(笑)


なんて、めんどくさい話には

対応できないから、で



だから、ルーフィにも

どうしようも無かった。



シアターで、トムとジェリーの映画が終わって


静かになった空間で

「それ、どうしようもないもの。

いつか、僕は帰って行かないとならないんだし」と

ルーフィ。



「どこへ帰るの?ご主人様のところ?」と

わたしは、気になっていた事を聞いた。



「いや、それは別にいいのさ。第一200年眠ったまま

なんだから、そこに行っても仕方ないし。

それより、今居るここは異空間だから、元の

空間に戻るべき、だと思う」と、ルーフィ。




「それじゃ、めぐちゃんの気持ちは...」




「どうしようもないね。最初からそうだもの。

それをめぐちゃんも知ってて、それでも

気持ちを伝えたかったんだろう。

そういうのって、理屈じゃないから」とルーフィ。




そっかぁ...めぐちゃんも、せつないね.....。





ふと、わたしはさっきの魔王への手紙を

思い出し


「あれ、なんて書いたの?」と聞いたので



「いきなり飛ぶなぁ(笑)まったく」と、ルーフィは

笑った。




それから


「魔界の住宅事情はお察し致します。悪魔くんの中から、

動物界へ戻らせるものを増やす為に、提案がございます。」と、ルーフィ。



「なんか、営業マンみたいね」と、わたし。



「元、営業マン、。」と、ルーフィは

テレビで見た台詞を真似していうので、わたしは笑った。


どんな時でも、ユーモアを忘れないね。





「御配下の悪魔くんたちと同様、人間界も

住宅事情が悪く、人が増えすぎたので

争いが絶えないのです。魔界の方々に

ご協力をお願いして、闘争エネルギーを

全部食べちゃってほしいのです。

闘争を煽らなくても、十分食べ物はある筈ですから。」と、ルーフィは楽しそうに言った。



「それで?」



「つきましては、人間界の闘争的なエネルギーを

食べてくれた悪魔様方々を、優先的に

動物界に転生して頂き、魔界、人間界

双方の共存を図りたく思う所存であります」と、ルーフィ。




「なんだか、数合わせの連立与党みたい」と

わたしは笑った。



「そういうなって。面白いアイデアだと思わない?」と

ルーフィ。



それで、政権奪取(笑)したら

金融緩和して消費税上げる政治家、みたいな(笑)



へんてこな手紙、まじめに読むだろうかなぁ、魔王って

アジアじゃ閻魔大王って言われてる、こわーいお方じゃぁ...



-----------------

sent from W-ZERO3


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る