第23話 殺し屋に狙われる

 街を歩いている時に突然矢を射かけられた。

 カリストが身を挺して俺を守った。

 護衛しろと命令しておいて良かったな。

 だが、カリストがお星様に。


「カリスト、お前の献身を無駄にはしない。イオ、犯人を食い殺せ」

「カリストが死んじゃった」


 もう何号とか名前つけるとこんがらがるので前の名前を踏襲する。


「生き返るよ【具現化】。カリスト、イオと協力しろ」


 イオとカリストが犯人を追って駆けていった。

 犯人はどうやら屋根の上を進んでいるようだ。

 あー、航空戦力が必要だな。


「【ショップ】鷲のモデルと飛ぶのと攻撃のアニメーションを獲得【具現化】殺し屋の男を攻撃しろ」


 鷲が羽ばたいて屋根を走る男に襲い掛かる。

 男は剣を抜いて鷲を切り払った。

 鷲は光になって消えて行く。

 やっぱり1千ポリゴンじゃ駄目か。


 よし、高いが1万ポリゴンの物を買おう。


「【ショップ】鷲のハイモデルを獲得【具現化】殺し屋の男を攻撃しろ」


 鷲が再び男に襲い掛かる。

 だが、鷲の攻撃力が低いので、倒しきれないようだ。

 下に落とせればイオが仕留めてくれるのだが。


「【俊足】僕の足に敵う奴はいない」


 そう声がしたと思ったら、つむじ風が巻いて、屋根の上の男が倒れていた。


「ひゅー、極速きょくそくの兄貴。その速さにしびれるぜ」


 冒険者と思われる男がそう言ったと思うと、つむじ風が再び起こり気障な風体の男が立っていた。

 その極速きょくそくと思われる男は前髪をはね上げてニヒルに笑った。


「ありがとうございます」

「いいよ。殺し屋は存在自体が許せない。鍛え上げた技は魔獣退治に発揮されるべきだ」


 極速きょくそく達が去って行き、俺は考えた。

 さっき男がクラン・デスタスの極速きょくそくだな。

 スピード特化とみた。

 俺って極速きょくそくにも敵わないんじゃないか。

 自信を無くすな。

 チーターのモデルはあるが、あのスピードに追いつけそうにない。

 こりゃ、修行の必要性を感じるな。

 特化型に対抗する兵器を作らないと。


 その前に誰が殺し屋を雇ったんだ。

 あの糞兄貴ぐらいしか思い当たらない。

 くそう、ゼットの野郎。

 俺は強くなるぞ。


「マリー、今日は修行だ」

「うん、楽しみ」


 森に行き俺は考えた。

 まず、パワーにパワーで対抗するのは愚の骨頂だ。

 スピードも同様だ。


 俺でも作れる万能兵器。

 その名もミサイルだ。

 円柱に円錐の頭をつけて胴体に小さい翼をつける。

 噴射孔には火のオブジェを付けて完成だ。


 30センチぐらいだが、対人ならこんなもんで良いだろう。

 魔獣用には3メートルぐらいのを作った。

 AIを載せて誘導機能も忘れない。


「【具現化】ミサイル。樹に向かって飛べ」

「うわ、棒が飛んで行くよ」


 ミサイルは樹に当たり抉って消えた。

 爆発はしないので攻撃力は衝突の衝撃だよりだ。

 パンチよりましだと思う。

 これを100発食らえばいくらタフな人でも堪らないと思いたい。


 攻撃力特化とスピード特化にはこれで対抗できるはずだ。

 だが、剣聖さんにはこれでも対抗できない。

 撃ち負ける光景がありありと浮かぶ。

 8千を超える斬撃をかいくぐれるとは思わない。


 半透明のオレンジの棒を出してレーザーって名前を付けた。

 もちろん攻撃力は無い。

 ただの遊びだ。

 レーザーブレードも作ってみた。

 これが見た目通りの性能を発揮してくれればな。


「光の剣を作ったの。これいいね」

「うん、音がするともっと楽しいんだけどね」


 遊びもほどほどにしよう。


 そうだ。

 何も攻撃力がなくてもいいじゃないか。

 拘束しちまえば良いんだ。

 ポリゴンは堅いからあみは無理だな。

 動く鎖なら簡単にできる。

 一つ輪を作って後はコピーだ。

 ボーンを入れて巻き付くアニメーションを作れば完成だ。

 いまいちだな。

 巻き付きに行った時に剣で斬られて光になる光景しか浮かばない。


 こんなのはどうだ。

 いきなり体の周りに輪っかを出現させて縮めるアニメーションをさせる。

 巨大ゴム輪って名前でどうだ。


 おー、中々いけるんじゃないか。

 やってみよう。


「【具現化】巨大ゴム輪【アニメーション】縮め」


 樹が拘束された。

 視認できれば、連続でこの攻撃を仕掛けられる。

 剛腕みたいな腕力に頼る人には効かなそうだけど。

 剣聖さんには通用しそうだ。

 早く次の殺し屋が来ないかな。

 このゴム輪とミサイルを試してみたい。

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