第12話 ゲームセンターでばったり編②
悔しそうな顔をしていた女性は正輝の知っている女性だった。
「どう見ても、真帆さんだよな」
正輝は踊っている祐希に断りを入れると真帆の元に向かって声をかけた。
「何してるんですか?」
「うわぁ!!」
真帆は肩をビクッとさせてこっちを振り返った。
「そんなに驚かなくても」
「な、なんだ正輝君か〜。ビックリしたじゃん! やめてよね〜」
「すみません。まさか、そんなに驚くとは・・・・・・」
「誰だって後ろから声かけられたらビックリするでしょ」
「そうですね・・・・・・。で、何してたんですか?」
見たところによると、真帆は某有名キャラクターのぬいぐるみを取ろうとしてたみたいだけど。
「このぬいぐるみがね、どうしてもほしいの・・・・・・」
真帆が大きな瞳をうるうるとさせて正輝のことを見つめていた。
(真帆さんがこのキャラクターを好きだなんて初めて知ったな。てか、そんな瞳で見られたら取ってあげるしかないだろ)
「僕が取りましょうか?」
「え、正輝君。クレーンゲーム得意なの?」
「まぁ、得意ですね・・・・・・」
正輝は真帆の隣に立つとぬいぐるみの位置を確認した。
(うん。これなら数回で取れるな)
確認を終えると正輝は自分の財布からお金を取り出してクレーンゲームに投入した。
「え、ほんとに取ってくれるの?」
「はい」
「お金くらいは出させて?」
「いいですよ。そんなにかからないので、それに、この前のケーキバイキングのお礼もまだでしたし」
「あれは、私のお礼だから。やっぱり、優しいね正輝君は」
真帆にそう言われて正輝の手元が狂った。
(あ、一回が・・・・・・。無駄に)
が、その後はミスすることなく手順に沿って数回でぬいぐるみを取ることができた。
クレーンゲームにはある程度手順がある。その通りにすれば、大抵は取れてしまう。もちろん、確率のやつもあるけど。
「はい。どうぞ」
「すごーい! ほんとに取っちゃうなんて!」
真帆は正輝からぬいぐるみを受け取ると、正輝のことを尊敬の目で見つめていた。
真帆は本当に嬉しそうに正輝が取ったぬいぐるみをぎゅーっと抱きしめていた。
「正輝君! ありがと! 大事にするね」
「取れてよかったです」
「さすが、得意なだけあるね! ところで、正輝君はどうしてここに?」
「友達と遊びに・・・・・・」
「そうなんだ。その友達は?」
真帆はキョロキョロと辺りを見回していた。
(祐希はまだダンスゲームの上かな? こっちに来ないってことはまだSSSが取れてないのかもしれない)
「今、ダンスゲームをしてます」
「へぇー。正輝君もするの?」
「しませんよ。そういうのは苦手なので・・・・・・」
「そうなんだ」
ダンスとかリズムを取るのは正輝は得意ではなかった。
(見る分には好きだけど、自分でするのはなー)
そんなことより正輝が気になってたのは、真帆がゲームセンターにいることだった。
(真帆さんもこういうところに来るんだな)
「真帆さんこそ、どうしてここに?」
「うーん。仕事までの暇つぶしかな〜」
「暇つぶし・・・・・・ですか」
「うん。そしたら、この子を見つけて可愛すぎてどうしても欲しくなちゃって、三千円くらい使っちゃった!」
黄色のぬいぐるみをぎゅーと抱きしめて、えへへと笑う真帆。
(三千円って・・・・・・。一個の商品に俺はそんなに使ったことないぞ。やっぱり、真帆さんってお金持ちだよな)
そんなことを正輝が思ってると、きょとんといた瞳で真帆が見ていた。
「どうしたの?」
「やっぱり、真帆さんはお金持ちなんだな〜って」
「なんで?」
「普通、一個の商品にそんなにお金使えないですよ」
「そうなの!? でも、欲しかったんだもん」
真帆は本当に驚いてる様子だった。
(普段、クレーンゲームとかしないんだろうな。今日も暇つぶしだって言ってたし)
正輝は取ってあげることができてよかったなと思った。
「さて、この子ゲットできて満足だし、私はそろそろ帰ろうかな」
「お仕事でしたっけ?」
「そう〜。これからお仕事〜」
「頑張ってください」
「うん。ありがと。じゃあ、またね〜」
真帆は正輝に手を振るとゲームセンターから出て行った。
正輝は真帆を見送るとダンスゲームをしている祐希のところへと戻ることにした。
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