第44話 不治の病を抱えた人へ

お気持ちは良く判ります。ですがもう少し頑張ってみませんか。

もしかしたら画期的な治療法が開発されるかもしれない。可能性は0ではない。その時まで希望を持ちながら日々をやりすごしましょう。

仮に開発されなかったとしても、最後のその時まで希望を持ちつつ日々を過ごすほうが素敵ではないですか。


いよいよとなったら「まっ、しゃあねえか」と事態を受け入れましょう。人はそのようにして不可避な悲劇をやり過ごす力があります。

空理空論ではありません。私はかつて狂犬病が流行している地域で野犬に噛まれたことがあります。狂犬病は発症したら100%死亡確実な不治の病です。

私はその時、「もし発病して死ぬことになっても仕方ないかな」と思って何もせずにやりすごしました。ある意味異常な心境ですが、そう思う事ができなければ、私は死ぬほど悩み懊悩して何も手につかず転落していたかもしれません。


「死」ですら受容する強さが人間にはあるのです。

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