第2話
どーせ、怪訝な顔をされるんだろうな
と思ったけど。
驚きの返答だった。
彼女は泣き出し、こくり頷いた。
僕の家は父子家庭だった。
お母さんは僕がまだ小さい頃に病気で亡くなっていた。男手1人で育ててくれた
お父さんはまだ仕事で帰宅はまだ。
そんな状況で女子を家に入れるのは
とても気が引けた。
「なんか、飲む?ココアあるよ」
「うん、飲む」
取り敢えず、居間に彼女を座らせ、
飲み物を出した。やがて、ぐーって
お腹の音が聞こえたので、
「もしかして夕飯まだとか??
ご飯、食べる?色々僕が作った料理が
あってさ、、」
基本的に父さんは料理を僕に任せていた。
冷蔵庫内の管理も買い物もおおよそ
僕の役割になってた。
「遠慮なく食べていいよ」
僕はご飯や煮物や魚の焼いたのや、お味噌汁をお椀によそい、彼女に出した。
「あ、ありがとう、、
いただくね、、、」
彼女は両手を合わせてから
食べていた。
そんな矢先、仕事を終えた父さんが帰宅して驚いていた。
「ど、どーしたんだシンジ!?
こ、この可愛い女の子は??友達か?
友達なのか??」
「まさか、お前、彼女なんてことは、ねーよな!」
「えーっと、、、」
僕はしばしのあいだ説明に窮した。なんと父親に伝えればいいのか。コンビニにいたところを寒さに震えている感じだったから連れてきたんだ、、と正直に告げ、同じ中学でクラスは違うけど学年は一緒だと告げた。
「何か事情がありそーだな、、」
普段、不真面目な親父が
急に真面目な顔をした。
そして言うことには。
「何かあったんだな、、もし良かったら
おじさん、聞くぞ」
僕は、自分と父さんの分の
夕飯も用意し、テーブルに並べた。
それを食べながら色々分かったことが
ある。
彼女が家出したこと。
その理由が、テストは100点しか認めないと母親に言われたこと。今回の中間テストの成績がズタボロで酷く叱られ
家を飛び出したと話してくれた。
「なるほどなるほど。
で、あんたのお母さんだけど、
もしかして、林マサミって名前だったりするかな??」
父さんがそう言うと彼女はびっくりして、
「そーですけど。何で分かったんですか??」
「ふん、あの女め。ちょっと待ってろよ」
父さんは席を立ち、固定電話が備え付けられている廊下へと向かったようだった。話し声が聞こえ、やがては
父さんの怒鳴り声も聞こえた。
数分後、父さんが戻ってきた。
ニヤニヤしていた。
「これで、もう大丈夫!あの女は
君に何も言えないと思う。
さ、帰んな。まだお腹空いてるか?」
てか、悪かったなぁ、
シンジの味の薄い料理でよー?」
「いいえ、とても美味しかったです!
ご馳走さまでした!」
林さんは本来の家に帰宅した。
翌日、学校で林さんに
呼び止められた僕。
当然、ドキドキした。
「ありがとね!なんか、お母さん、
優しくなった。山野くんのお父さんに
御礼を言いたいんだけど、今日また、
お宅に行ってもいいかな?」
「あ、いいけど」
僕はとても不思議だった。
トラックの運転手をしている親父が
一体全体、何を言えば
彼女のお母さんが優しくなるのか
分からなかった。
彼女が親父に御礼を言いにきたあと、
僕は親父に思い切って聞いたんだ。そしたら何と。
「あー、実はな、彼女が俺の中学時代の元カノの林マサミに顔が似てて。それで母親の名前を聞いただろ。で、実はな、秀才な俺とはテストの点を競う仲だったんだがな。悪いけどいつも俺が勝ってた。あいつが100点を取ったことなど皆無。そんなヤツが。自分が良い点取れなかったのに、娘に満点を求めんじゃねーよ!とはっきり言ってやったんだ」
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