第9話 ブラック企業に憤る天使。
「私ガ、コノ会社デ一番嫌ッテイルノハ、
「分かった。ありがとう、もうそこまででいいよ」
「ミカ……その専務って人、サイテーです……!! 絶対にその人ですよ、
ミカエルの
「これが
「ボクも何度かリンが観ているのを
彼の言うアイツとは、天界を裏切って悪魔に心を売り渡したかつての師、堕天使フェルのことである。
フェルを追って天界から降りてきたミカエルにとって、その手掛かりは喉から手が出るほど欲しいところだ。
「とにかく、その百目鬼専務っていう人のところへ行ってみよう。恐らく、その役職っぽい名前が付いた部屋にその人物は居るはずだ」
「はい! 一刻も早く見つけ出して、悪魔を退治しちゃいましょう!」
「そうだね。……取り敢えずこのバッチイ人は一旦眠らせておこうか」
ミカエルは再び能力を使って情報をくれた女性の意識を奪い、リィンが優しく椅子に座らせた。
そして2人は
途中で不審な子どもを見つけてキレ始める社員と何人かすれ違ったが、その度にミカエルは意識を奪って大人しくさせていく。
「はぁ、はぁ……さすがにちょっとこの人数は
「大丈夫ですか、シショー……あっ、あった! やっと見つけましたよ、専務室!!」
「本当……? はぁ、良かった……」
能力の使い過ぎでHPと金の消費が激しいミカエルを心配してか、師匠呼びが戻ってしまっているリィン。
だが彼はそれを一々訂正する余裕も無いようだ。
元々体力もあまり無く、非常に
そうして疲労
入り口のドアには、ちゃんと『専務室』と書かれたプレートが
「……この気配は。リィン、この部屋はクロの匂いが強い。悪魔が急に襲って来るかもしれないから、気を付けてね」
「なんだかワンちゃんみたいですね、シショー。わっかりました! 何かあったら、シショーを
「……まぁそれでいいよ。足手まといだけにはならないでね」
フンス、と両
10
そして百目鬼専務と思われる男が、立派な革張りのチェアーにどっかりと座っていた。
「あと少し……ノルマはあと少しなんだ。あと数日あれば私は更に上級の……魔に……ココッ、ココココ!!」
まるでモンスターのようにデップリとした体形の彼は、デスクに置かれたパソコンのモニターを血走った目でギラギラと
そして視界の
その充血しきった赤い瞳をクワッと開くと、慌てたように立ち上がった。
「おっ、おいおいおい……なんでガキがこんなところにいるんだよ!! 他の社員はどうした!! 簡単な仕事もできねぇクソどもがよぉ! ぶっ殺されてぇのかマジで!!」
瞳だけではなく、一瞬で顔まで真っ赤になった百目鬼専務と思われる男。
百目鬼という名の通り、鬼のような形相だ。
「っつーか、なんだそのシロい
これが普段からの態度であるならば、即入院させなければならないほど
彼みたいに人の話も聞かず、ただ己の理想を相手にぶつけ、気に入らないことは他人に
そんなのがこの会社の上層部なら、部下たちのあの壊れ具合も
「悪いけど、ボクは人間のルールっていうのは知らないし、知るつもりも無いよ。そういう方針なら勝手にやっているがいいさ」
「ちょっ、シショー!? 今はそんなこと言っている場合じゃ……」
「だって興味がないんだもん。まぁ安心しなよ。どうやらコイツが当たりだったみたいだ」
ミカエルは肩掛け鞄から天使用アイテム、
『対象を確認しました――推定、クロレベル88%。対象は悪魔
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