あはれなり

鈴芽

第1話


土砂降りの中、君の唇は言の葉を運んだ


   「  、   。」


君を君と呼ぶことが正しいのかわからない

私を私と認めることが真実なのかわからない


排水溝を泥水と桜の花弁が溢れかえっていた


生ぬるい風が柔く手の甲をなぞる

前髪が視界を遮る


「先が、見えないな。」




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