第156話霧響は妹?異性?
「ふう・・・」
やっぱりお風呂は生きた心地を覚えるな。さっきまでは本当に自分が死んでいるんじゃないかと思うぐらい生きた心地がしなかったからな。それにしてもあの家と比べると小さいお風呂だけど今は、それが落ち着くな。
`コンコン`
と、お風呂場全体にノック音が鳴り響いた。
「また初音か、何度も言ってるけど、一人で──」
「また・・・?」
「・・・ん?」
俺の気のせいかもしれないけどお風呂場のドアの向こうから聞こえてくる声が初音とは違う気がする。
「`また`とはどういうことですか?お兄様」
やばい、霧響だ!確かにこっちの家にいるときは何度かこういうこともあったけど最近は初音と過ごしてたから反射的に初音かと思ってしまった。
「あ、あー、霧響か・・・ま、まあ、どちらにしろお風呂には入ってくるな!」
「それよりも`また`っていうのはなんですか?」
「え?ま、またっていうのは、その──」
「もしかして前にあの人と一緒にお風呂に入ったの?」
「いや、入ったというか、何というか・・・」
実はかなりガッツリと一緒に入ったけどそんなこと言えるわけがない。
「入ったんですか?」
「いや、だから──」
「はいかいいえで」
「・・・はい」
「そうですか・・・」
そういうと霧響はお風呂のドアを勢いよく開けた。が、当然俺は目を瞑っているため何も見えない。これで恥ずかしがることもないだろう。初音は一応異性だけど霧響は妹だ。目さえ瞑っていれば恥ずかしいことなんてない。
「なぜ目を瞑ってるんですか?」
「15歳の、それに妹の裸をみるような趣味は俺には無い」
「ダメです、見てください」
「見てくださいってなんだよ!女の子がそんな簡単に体を見せるな!」
「お兄様以外に見せるわけないじゃないですか」
「それはそれで問題なんだ!」
全く、霧響とはどこか話が噛み合っていない気がするな。気のせいだといんだけど、明らかに気のせいではない。毎回どこか会話のネジがずれているような気がしてならない。
「問題なんてないです!それこそお兄様の理論で言うなら私を異性として捉えていないなら私の裸ぐらい見られるはずです!」
「そ、それは────」
「今私の裸を見られないのはお兄様が私のことを異性として見ているからです!違うというのなら言葉ではなく行動で証明して見せてください」
何で伝わらないんだ!妹とか異性とか以前にそもそも他人の裸を見るなんて常識的には共用されてすることじゃないんだ、でも霧響に言っても伝わらない。なら、ここは`見たふり`をして何とか脱しよう。
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