第148話霧響は情緒不安定

「ほ、本当って、お、お兄様とあの女の方は付き合っているってことですか?」


「ん?ああ、まあそういうことに──」


 と、俺が再度改めて確認してくる霧響に肯定するようん返事をしようとすると、霧響はいきなり倒れた。


「お、おいっ!だ、大丈夫か!?」


「そ、そんな、お、お兄様が・・・」


 と、霧響は何かを呟いている。「そ、そんな、お、お兄様が・・・」って言ったか?もしかして俺に彼女ができるか不安だったけど彼女ができて安心してくれたのか?それにしても倒れるなんてなんか複雑な気分だな。俺ってそんなに彼女ができないと思われてたのか・・・


「まあ、安心してくれ、俺のもちゃんと彼女が──」


「そうじゃないですよ、なんで彼女なんて作ってるんですか」


「・・・?」


 霧響が何故か起こっている。いや、霧響が怒ることは稀でもなんでもないけどなんかいつもよくわからないところで怒るから10年以上も一緒に生活しているのにその怒りの理由は本当にわからない。


「なんでって、別に作ってもいいだろ?」


「よくないですよ!」


「なんでだよ!」


 なんだ?てっきり俺に彼女ができて不安のタネが消えて喜んでくれたのかと思ってたけど、どうやらそうじゃないらしい。むしろ、それについて怒ってるようにも見える。


「だって、お兄様は私と──じゃなくて、なんで私になんの報告も無しに彼女なんて作ってるんですか?」


 と、霧響はその長い髪の毛を手でサラッと手でたなびかせた。ちなみに霧響は現在中学3年生で髪型は黒髪ロングで、おまけに顔も整っているからラノベ好きならドキッとくるのかもしれないけど残念なことに俺は妹にどきっとくるような異常者では無い。別にそういう人たちのことを否定するつもりはないけど、俺は少なくとも霧響のことを妹として見てる。まあ、当たり前だけどな。


「俺だってもう高校2年生なんだし、彼女ができたっておかしくないだろ?」


「・・・・・・」


「ふ、ふんっ!そ、そうですか!私だってか、彼氏できましたから!」


 と、霧響はどこか不安げに言う。でも、なんで不安がってるんだ?喜ばしいことじゃないか。


「そうか!おめでとう!霧響!!」


「えっ・・・」


「それにしても霧響もようやく彼氏か、今まで毎日のように告白されててむしろなんでいなかったんだって感じだしなー」


「・・・・・・」


「ん?」


 霧響が何故か黙り込んでしまった。


「どうした?」


「・・・そ・・です」


「ん?」


「彼氏なんて嘘です!なんで悲しがってくれないんですか!」


「はあ!?」


 な、なんなんだ、さすがに情緒不安定すぎるだろ・・・

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