第99話結愛と二人きり
そんな調子でなんとかやり過ごし放課後が来た。放課後になると初音が「ちょっと用事があるから先に帰ってて、いい?すぐに家に帰るんだよ?」と、小さい子供に言うように俺に念を押した。
おそらく結愛のことだ、俺がどこに行こうともついてくると踏んだんだろう。だが、俺が結愛の目をかいくぐりもうすでに自分の家に入っている。ここまで来れば少なくとも一安心だろう。
‘ピンポン‘
「あっ」
インターホンが鳴った。多分用事を終えた初音が帰って来たんだろう。鍵でも忘れたのか?初音んしては珍しい。なんていう疑問を抱きつつ俺は扉を開けた。すると、そこに立っていたのはーー
「そーちゃんっ!」
と、そこに立っていた人物は俺の懐に入って来て、抱き着いてきた。
「お、おいっ!」
俺はすぐに後ろに退き、玄関に入って来た‘結愛‘から離れた。
「な、なんでここにーー」
「そんなことどうでもいいからっ♪それより、今はあの虫いないんでしょ?ようやく二人っきりだねっ♥」
そういうと、この家の鍵を手際よく閉めていき、外からは開くことができないようにした。
「じゃあっ、とりあえず今のそーちゃんの部屋を見たーー見てあげてもいいよ?」
「・・・・・・」
もうツッコむ気力もない。って!そうじゃなくて!!
「ダメに決まってるだろ!早く帰れ!!」
「もうー、照れちゃってー、見られたら困るものでもあるのー?大丈夫っ!そーちゃんがどんな趣味でも私が受け入れてあげるから♥」
「見られたら困るとかじゃなくて、この家に居られると困るから早く出ていけ!」
俺が力強く言うと、結愛の雰囲気が少しだけ変わった。
「そっか、あの寄生虫に寄生されちゃったんだ・・・でも大丈夫!そーくんも人間なんだし、道を誤ることもあるよ!まあ、そういうところも可愛いんだけどね♥」
だ、ダメだ、何を言っても聞いてくれない。初音もこういう時はあるけど初音の場合は俺の言うことをすべてネガティブにとらえるけど逆に結愛はポジティブにとらえてる。だから俺が何を言っても喜んでるんだ。
「・・・・・・」
なんで俺はポジティブ代表のやばい幼馴染とネガティブ代表の彼女がいるんだ・・・?何度も言うけどこういうのは本の中とか文字の中だけで良いんだって・・・俺の人生はもっと普通の人生で二次元を羨むような人生が良かったのに・・・
「なんでこんなことに・・・」
と、俺が思わず口に出して言うと、結愛が俺の近くに寄って来た。そしてーー
「そうだね・・・あんな寄生虫に寄生されちゃうなんて・・・」
と、結愛は本気で悲しそうに言っている。
「でも安心してっ!今日は泊っていくからっ♪」
「・・・は!?」
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