第20話 コットンマウスの群れ
セントリウスに戻ってからすぐに生産活動に戻った。
とりあえず素材が潤沢にある【木工】の熟練度を上げた。ただ、熟練度が低いため出来ることが少ないので作るのは【細工】用の小木板か初心者向けの杖や弓がほとんど。
一応、素材のQuとDEXが高いお陰か、【木工】の熟練度が低くてもそこそこQuの高い杖や弓が出来ている。まあ、Quが高いとは言え初心者用の本当に弱い物なので委託に流しても売れるかどうか。2陣が入ってきた直後なので売れる見込みはあるのだけど、それでも同じような物を出している生産者も居るので微妙なところだね。
自分で伐採していた木材から作り出している上、最安値でも利益が出る価格なので最安値で流す。
いくつか出来の良かったものには簡易エンチャントを施してみた。さすがに何度もエンチャントを掛けたものは使っていないのでSASは低め。そっちは多分売れるはずだ。
【木工】で使える木素材が尽きたので、他のスキルの熟練度を上げて行きたいところなのだけど、坑道の封鎖と2陣プレイヤーの参入が重なった結果、委託に流れているどの種類の素材も数が極めて少ない状態。それに手持ちの素材も熟練度上げで使えるような物は既にない。
ここのところずっと生産していたから、残っている素材ってワイバーンの物か第3エリアの物くらいなのだよね。一応アッシュボアの素材はあるけど数が少ないからちょっと使いづらい。
という訳で素材を狩りに行きます。
今回の素材集めは今後の事を考えて【裁縫】でやりたいことがあるので、皮素材をメインに集めて行こうと思う。
狩りの対象としてはディア系とベア系。羊と山羊、ウルフも狩ろうと思えば狩れるけれど、素材のランク的に【裁縫】の熟練度上げには適していないので率先して狙う気はない。向かって来たら狩るけどね。
オルグリッチの素材とかも欲しいとことだけど、あのレアBOSSが出る可能性を考えると安易に手を出すことは出来ない。
どうやらあのグラングリッチ……だったっけ?は、オルグリッチの討伐回数によって出現率が上がるらしい。他のBOSSも同じようなレアBOSSが出るらしく、今まで委託に流れていた第1エリアBOSSの素材の量が減っている状態だ。第2エリアのBOSS素材は元から少なかったのでそれほど変化はないけど。
出来ればグラングリッチ?にリベンジしたいところだけど、今のところ私がやりたいことからはズレているので後回しである。
セントリウスの少し西側にある森に入り、見つけ次第鹿と熊を狩り続ける。しばらく狩りをしていたところで違和感を覚える。
なんかここのエネミー前よりも強くなっているような……?
今までだったら一撃で倒せていたベアが偶に1撃で倒せない時がある。フォレストディアも前より動きが速いような気がする。
倒せなくなるような変化ではないけれど、やっぱり強くなっているような気がする。
そう思って目の前に出て来たベアに向かって【鑑定】を発動させた。
[(獣)ベア LV:16 Att:‐]
HP:1120 / 1120
MP:80 / 80
スキル:■
状態異常:‐
んん? ちょっとLV上がっている? 記憶上ベアの最大LVは14だったから上がっているよね。HPも3桁から4桁になっているし、やっぱり強くなっている。
ステータスの確認も終わったのでベアを倒す。一撃では倒せなかったけど、ダメージの多さから怯みが発生したらしく動けなくなっていたところに追撃して倒した。
ベテュードの所からセントリウスの街へ移動した時は、素材集めよりも移動優先だったから気付かなかったけど、これは2陣が入って来ると同時に第2エリアのエネミーが強化された感じ?
新規エネミーが追加されたって情報以外のアップデート情報があったかどうか、しっかり確認していないからよくわからないけど、たぶんそうなのだろう。
早くプレイしたいからって今までパッとしか確認していなかったけど、今度からアップデート情報しっかり確認した方が良いかも。
次からしっかり確認しようと心に決め、狩りを続行。
「ちゅーーー!!」
「ちゃーー!!」
現在小型エネミーに囲まれ戦闘中。ざっと見、50匹は居るかな。
原因は少し前に見つけた新規エネミーなのだけどまさかこんなことになるとは思っていなかった。
コットンマウス。新規エネミーとして新しく出現するようになった存在で、掲示板情報だとLV2とか3の初心者用雑魚エネミーらしい。だけど、今私に向かって来ているのはLV8前後の個体。LV的に初心者向けではないよこれ。
しかもこうなった原因って、たまたま私がコットンマウスを1匹見つけて、ちょっと素材が気になったから倒してみたのだよね。手に入れた素材的に悪くなかったのだけど、倒して30秒経ったか経たなかったかのタイミングで10匹以上のコットンマウスに襲われた。
どうやらこのコットンマウス、死んだ際に仲間を呼ぶスキルを持っていたらしい。そんな情報どこにもなかったけど、LVが上がっているから覚えたとかそんな感じなのかな。何となくビッグラットに比べて仲間意識が強いような感じが戦っている中で伝わってくるから、そういう特性のエネミーなのかもしれない。
まあ、STRが低いのか攻撃を食らっても1とか2ダメージくらいなのでそうそう死ぬことはない。ただ、サイズがビッグラット(小)よりも小さいので、まあ攻撃が当たらない。
しかも、何て言うか見た目がケサランパサラン? 最初に触った時の感触からして、コットンと名前が付いているのはあながち間違いでもないと思えた。
動く姿を例えるなら、毛の長いアンゴラウサギのような結構かわいい感じ。そのため、攻撃するのに結構躊躇いそうな外見である。
まあ、可愛くても向かって来る以上倒すけどね。
「シャドウニードル」
サイズも相まってHPが低いらしく、MPを多めに注ぎ込んだシャドウニードルのカス当たりでも倒すことが出来る。
倒せば倒すほど素材が手に入るから良いのだけど、さすがに100匹以上倒していると疲れて来るね。
「ちゃーー!!」
「ちゅーーー!!」
これ永遠に終わらない奴じゃ?
さらに増えたコットンマウスを見てそう思う。
倒せども倒せども、減った気がしないコットンマウスの群れにちょっとだけ嫌になってきた。
【血魔法】で作った鞭を手に持って振るう。
狙いはあえて付けない。いや、付けたところで当たらないことの方が多かったので、適当に振っていた方がヒット率が高いだけなのだけど。
ランダム鞭アタック!
今回は3匹にヒット。割と当たった方かな。っと、シャドウニードルのCTが終わったので追撃。
「シャドウニードル」
固まって居るところを狙ったのもあるけれどログを見る限り7匹倒せたようだ。やっぱり範囲攻撃の方が倒せる数が多いね。当然だけど。
「ちゅおおぉぉお!!」
「ん?」
ダークボールとダークランスを使い数匹同時に屠ったところで、コットンマウスの鳴き声によく似た、でもやや低い鳴き声が背後から聞こえてきた。
―――――
コットンマウスの毛はコットンの特徴によく似ている。あと綺麗好き。
他のエネミーが寄ってこないのは仕様。
ランダム鞭アタック→ランダムチアタック→ランダムック→ムッ〇!
まで考えたけど、さすがにアユに言わせるのはちょっと、と思って止めました。
私にはギャグのセンスはないようですぞ……
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